旅館業の種類とその特徴

「旅館業」と一口に言っても、実は法律で4つの種類に分かれています。
それぞれ 必要な許可・設備要件・営業形態 が異なります。

以下で、わかりやすく整理して解説します👇


目次

🏠 旅館業とは?

旅館業とは、「宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」のことです。
つまり、「寝具を設けて宿泊させる」行為を継続して行う場合には、
旅館業法 に基づいて許可が必要になります。


📚 旅館業の4種類と特徴

区分主な特徴典型的な施設例
① 旅館・ホテル営業旅館・ホテルなど本格的な宿泊施設温泉旅館、ホテル、ビジネスホテル
② 簡易宿所営業小規模で多数の人を一部屋に泊める民宿、ゲストハウス、カプセルホテル
③ 下宿営業長期間(1か月以上)滞在する人向け学生下宿、社員寮など
④ 住宅宿泊事業(民泊)※一般住宅を宿泊用に貸すAirbnbなど(旅館業法ではなく別法)

※「住宅宿泊事業(民泊)」は、旅館業法ではなく
 住宅宿泊事業法(民泊新法) に基づきます。


🏨 ① 旅館・ホテル営業

🔹 概要

宿泊客に部屋・寝具を提供し、
個室単位で宿泊させる営業

🔹 設備要件(目安)

  • 客室面積:1室あたり7㎡以上(都道府県により異なる)
  • フロント設置
  • トイレ・洗面所の衛生設備
  • 適切な避難経路・防火設備

🔹 特徴

  • 高い衛生・安全基準
  • 許可取得に最も時間とコストがかかる
  • 飲食提供を行う場合は「飲食店営業許可」も必要

🏡 ② 簡易宿所営業

🔹 概要

宿泊者を一部屋に多数泊める形態。
民宿・カプセルホテル・ゲストハウスなどが該当します。

🔹 設備要件(例)

  • 客室の延べ面積:33㎡以上(自治体により異なる)
  • トイレ・洗面設備の設置
  • 消防設備の設置(煙感知器・消火器など)

🔹 特徴

  • 比較的取得しやすい(小規模OK)
  • 家庭的・安価な宿泊施設向け
  • 外国人旅行者向け施設として人気

💡 民泊をする場合、多くはこの「簡易宿所」に該当します。


🏘 ③ 下宿営業

🔹 概要

1か月以上 の長期滞在者に
寝具付きで部屋を貸す営業です。

🔹 設備要件

  • 部屋に適切な採光・換気・防火設備
  • トイレ・台所などの共有設備
  • 定期的な清掃・衛生管理

🔹 特徴

  • 短期宿泊ではなく「居住」に近い形
  • 許可取得は比較的容易
  • 学生や単身赴任者向けが中心

🏠 ④ 民泊(住宅宿泊事業)

🔹 概要

自宅やマンションの一室などを
旅行者に貸す**住宅宿泊事業法(民泊新法)**に基づく制度。

🔹 主な要件

  • 年間営業日数は 180日以内
  • 保健所や自治体への届出が必要
  • 消防設備の設置
  • 近隣住民への事前説明義務

🔹 特徴

  • 許可ではなく「届出」でOK
  • 旅館業法よりも簡易だが営業制限あり
  • Airbnbなど個人事業向け

📑 旅館業許可を取るには

1️⃣ 物件の用途地域確認(都市計画法)
 → 旅館業ができる地域か役所で確認

2️⃣ 建築基準法・消防法の基準を満たす
 → 防火・避難・衛生設備など

3️⃣ 保健所に申請(旅館業許可申請)
 → 設備図面・登記簿・管理体制の書類を提出

4️⃣ 現地調査・許可交付


⏱️ 費用と期間の目安

項目費用期間
行政手数料約2〜3万円(自治体で異なる)
消防・衛生設備工事数十万〜数百万円
申請期間約1〜2か月
行政書士依頼費用約10〜20万円程度

✅ まとめ

区分宿泊形態特徴
旅館・ホテル営業個室で宿泊本格的な宿泊業。許可基準が厳しい
簡易宿所営業相部屋も可小規模・安価・民泊に近い
下宿営業長期滞在学生・単身向け
民泊(住宅宿泊事業)自宅などを短期貸出届出制・180日制限あり

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この記事を書いた人

東京都行政書士会墨田支部所属の富森翔太です。
相続、許認可、会社設立等の業務を行なっています。
行政や法律に関する疑問や手続きについてわかりやすく発信していきます。

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