キャンプ場でも「旅館業の許可」が必要になる場合とは?―行政書士が実例でわかりやすく解説する宿泊営業の法的境界線―

近年、アウトドアブームの高まりにより、
- 山林や空き地を活用したキャンプ場
- グランピング施設
- バンガローやコテージ付きキャンプ場
などを運営・開業しようと考える方が増えています。
その際、非常によく受けるご相談が次の疑問です。
「キャンプ場なのに、旅館業の許可が必要なのですか?」
「テントを張るだけなら関係ないのでは?」
結論から申し上げると、
キャンプ場であっても、内容次第では「旅館業の許可」が必要になる場合があります。
本記事では、
「どこからがキャンプ場で、どこからが旅館業なのか」
その判断基準を、行政書士の立場からわかりやすく解説します。
1.そもそも「旅館業」とは何か?
まずは基本となる法律から確認しましょう。
(1)旅館業法とは?
旅館業法とは、不特定多数の人に宿泊サービスを提供する営業を規制する法律です。
目的は、以下の点にあります。
- 公衆衛生の確保
- 利用者の安全確保
- 生活環境への配慮
(2)旅館業の定義
旅館業法では、旅館業を次のように定義しています。
「宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」
ここで重要なのは、
**建物の名称や形式ではなく、「実態」**で判断されるという点です。
2.「キャンプ場=旅館業ではない」は誤解?
一般的に、キャンプ場は次のようなイメージを持たれがちです。
- 利用者が自分でテントを持参する
- 寝具や設備は自前
- 管理者は場所を貸しているだけ
このような純粋な場所貸し型キャンプ場であれば、
原則として旅館業には該当しません。
しかし、すべてのキャンプ場がそうとは限りません。
3.旅館業許可が「不要な」キャンプ場の典型例
まず、比較のために、
旅館業の許可が不要とされやすいケースを整理します。
旅館業に該当しにくい例
| 内容 | 判断 |
|---|---|
| 利用者が自前テントを持参 | 旅館業に該当しにくい |
| 寝具・毛布の貸出なし | 該当しにくい |
| 区画(場所)のみ貸与 | 該当しにくい |
| 宿泊料ではなく「利用料」 | 参考要素 |
※ただし、これらを満たしていても、最終判断は保健所が行います。
4.キャンプ場でも旅館業の許可が必要になるケース
ここからが本題です。
次のような場合、キャンプ場であっても旅館業に該当する可能性が高くなります。
(1)テント・バンガローを「事業者が用意」している場合
実例①:常設テントを貸し出すキャンプ場
- 事業者がテントを設置
- 利用者は手ぶらで宿泊
- 寝具(マット・寝袋)付き
この場合、
**「宿泊施設を提供している」**と評価されやすく、
旅館業法上の「宿泊」に該当する可能性があります。
(2)コテージ・バンガロー型施設
実例②:木造バンガローを並べたキャンプ場
- 固定された建物
- 屋根・壁・施錠可能
- 寝具付き
これは名称が「キャンプ場」であっても、
実態は簡易宿所営業と判断されるケースが非常に多いです。
(3)グランピング施設
実例③:高級グランピング施設
- 常設大型テント
- ベッド・寝具完備
- 食事提供あり
このような施設は、
ほぼ確実に旅館業の許可が必要となります。
5.【図解】判断の分かれ目はどこ?
利用者がテント持参
↓
場所だけ貸す
↓
【旅館業に該当しにくい】
--------------------------------
事業者が宿泊設備を提供
↓
寝具・建物あり
↓
【旅館業に該当する可能性が高い】
6.旅館業に該当すると何が必要?
(1)必要な許可の種類
旅館業法には、主に次の営業区分があります。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 旅館・ホテル営業 | 一般的な宿泊施設 |
| 簡易宿所営業 | 民宿・ゲストハウス等 |
| 下宿営業 | 長期滞在型 |
キャンプ場・グランピングでは、
簡易宿所営業に該当するケースが多いです。
(2)主な許可要件(概要)
- 客室面積の基準
- 換気・採光・照明
- 寝具の衛生管理
- トイレ・洗面設備
- 消防法への適合
※詳細基準は自治体ごとに異なります。
7.よくある誤解と注意点
誤解①:「キャンプ場と名乗れば大丈夫」
→ 名称ではなく実態で判断されます。
誤解②:「短期間なら許可不要」
→ 期間の長短は原則関係ありません。
誤解③:「自治体によって適当」
→ 裁量はありますが、
保健所判断が絶対です。
8.まとめ|キャンプ場でも「許可不要」とは限らない
キャンプ場だからといって、
必ずしも旅館業の許可が不要とは限りません。
判断のポイントは次の3点です。
- 宿泊設備を誰が用意しているか
- 寝具・建物があるか
- 実態として「宿泊サービス」か
これを誤ると、
無許可営業=旅館業法違反となるリスクがあります。
行政書士事務所へのご相談のご案内
- キャンプ場・グランピング施設を開業予定
- 旅館業許可が必要か判断できない
- 保健所への事前相談を代行してほしい
- 農地・山林活用を検討している
このような場合は、
旅館業・民泊・宿泊施設に詳しい行政書士へ早めにご相談ください。
事前に確認・整理することで、
「知らなかった」では済まされない法的リスクを回避できます。
ご不明点がございましたら、
ぜひ一度、行政書士事務所までお気軽にお問い合わせください。
