親が認知症になってしまった時のための備え

「親が認知症になったときに困らないように備える」には、
法律・お金・介護の3つの面で準備をしておくことが重要です。

以下では、具体的に何をしておくと安心かをわかりやすく解説します👇


目次

🧠 1️⃣ 認知症になると何が困るのか

親が認知症になると、次のようなことが自分でできなくなります。

  • 銀行口座の出し入れ
  • 不動産や預金の名義変更
  • 介護サービスの契約
  • 病院や施設の入退所契約
  • 財産の管理(詐欺・悪質商法の被害リスク)

つまり、判断能力が低下すると家族でも勝手に手続きできないのです。


🛡️ 2️⃣ 判断能力があるうちにできる準備

親がまだしっかりしているうちにできる備えをしておくことが大切です。

① 任意後見契約(にんいこうけん)

👉 認知症になる前に「将来、自分の代わりに財産を管理してくれる人」を決めておく制度。
公証役場で公正証書にしておく必要があります。

項目内容
契約する時期判断能力があるうち
効力が発生する時期認知症などで判断能力が低下したとき
手続き方法公証役場で「任意後見契約書」を作成
費用目安公証人手数料 約3〜5万円+司法書士などの費用

💡「将来のための安心契約」です。


② 財産・契約の整理

  • 預貯金・年金・保険などの一覧を作る
  • 不動産の登記情報を確認する
  • 不要な口座・クレジットカードは解約
  • 公共料金の支払いを家族でも確認できるように

💡「通帳・印鑑・パスワード」を1か所にまとめておくと安心です。


③ 医療・介護の希望を書き残す

  • 延命治療を希望するか
  • 自宅介護か施設介護か
  • 面倒を見てほしい人

これらを「エンディングノート」や「尊厳死宣言書」に記録しておくと、
家族が迷わず判断できます。


⚖️ 3️⃣ 判断能力が低下してからの制度

もしすでに認知症が進んでしまった場合は、
家庭裁判所を通じて次の制度を使うことができます。

① 成年後見制度(法定後見)

種類判断能力の程度後見人の権限
成年後見ほとんど判断できない財産管理・契約代行すべて
保佐判断にかなり支援が必要重要な契約のみ同意
補助少し支援があれば判断可能一部契約のサポート

申立先:家庭裁判所
申立人:本人・配偶者・子どもなど
費用目安:5〜10万円(鑑定が必要な場合は+数万円)

💡 すでに認知症が進んでいる場合は「成年後見」制度が実質的な選択肢になります。


🏠 4️⃣ 介護面での準備

  • 介護保険の申請(65歳以上 or 特定疾病)
  • ケアマネージャーの選定
  • デイサービス・訪問介護の利用
  • 施設入所の検討(グループホーム・特養など)

💡 要介護認定を受けると、介護費用の自己負担が1〜3割に軽減されます。


💰 5️⃣ お金・相続の備え

  • 遺言書を作成しておく(公正証書遺言が安全)
  • 生前贈与でトラブルを防ぐ
  • 預金の共同名義信託も検討可

💡 認知症になると遺言書は作れなくなります。
元気なうちに「遺言+任意後見契約」を整えるのが理想です。


✅ 6️⃣ まとめ

分野やっておくべきこと
判断能力があるうち任意後見契約・財産整理・エンディングノート
判断能力がなくなったら成年後見制度の申立て
介護面介護保険の申請・ケアプラン作成
財産面遺言書・生前贈与・信託の検討

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この記事を書いた人

東京都行政書士会墨田支部所属の富森翔太です。
相続、許認可、会社設立等の業務を行なっています。
行政や法律に関する疑問や手続きについてわかりやすく発信していきます。

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