「婚前契約書(プリナップ)とは?」その効力・書ける内容・デメリットを解説

婚前契約書とは?効力はあるの?
――最近話題の「プリナップ」を行政書士が徹底解説――
「結婚前に契約書を作るなんて、冷たい気がする」
「婚前契約書って、日本でも本当に有効なの?」
最近、芸能人や経営者の結婚報道などをきっかけに、
**「婚前契約書(プリナップ)」**という言葉を耳にする機会が増えています。
一方で、
- 法的に意味があるのか
- 何を書いていいのか
- 書いても無効になる内容は何か
といった点が分からず、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、
- 婚前契約書とは何か
- 日本法上の効力
- 記載できる内容・できない内容
- 実際に想定される活用例
- 作成時の注意点
を、行政書士が法律初心者向けに丁寧に解説します。
婚前契約書(プリナップ)とは何か【基礎知識】
婚前契約書とは
婚前契約書とは、
結婚前に、夫婦となる予定の二人が、将来の財産や生活ルールについて取り決める契約書です。
英語では
Prenuptial Agreement(プリナップ)
と呼ばれます。
なぜ今、注目されているのか
背景には、次のような社会変化があります。
- 共働き夫婦の増加
- 再婚・国際結婚の増加
- 個人資産(株式・不動産等)を持つ人の増加
- 離婚件数が一定数存在する現実
「万が一」に備えるという考え方が、徐々に広がってきています。
日本で婚前契約書は有効なのか?
結論
婚前契約書は、日本でも一定の範囲で有効です。
ただし、
何を書いても必ず有効になるわけではありません。
婚前契約書の法的根拠【専門用語の解説】
契約自由の原則
日本の民法には、
「契約内容は、当事者が自由に決められる」
という契約自由の原則があります。
👉 婚前契約書も、この原則のもとで作成されます。
ただし制限あり
次のような内容は、無効になる可能性があります。
- 公序良俗(社会の基本的な道徳)に反するもの
- 法律で強行的に定められている事項に反するもの
婚前契約書でよく定められる内容【全体像】
【婚前契約書の主な内容】
① 財産に関する取り決め
② 生活費・家計の分担
③ 離婚時の財産分与
④ 事業・相続との関係
⑤ 紛争解決方法
以下、順に解説します。
① 財産に関する取り決め【最重要】
特有財産とは?
特有財産とは、
- 結婚前から所有していた財産
- 相続・贈与によって取得した財産
を指します。
法律上、特有財産は原則として共有になりませんが、
実務では争いになるケースが多いのが現実です。
実例
- 結婚前に購入したマンション
- 婚前から保有している株式
👉 婚前契約書で
「これは各自の特有財産とする」
と明記することで、将来の争いを防げます。
② 生活費・家計分担の取り決め
内容の例
- 家賃は夫が負担
- 生活費は折半
- 光熱費は共通口座から支払う
これらは、婚姻生活中のルールとして有効です。
③ 離婚時の財産分与に関する取り決め
財産分与とは?
離婚時に、
婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を分ける制度です。
婚前契約書でできること
- 分与割合の目安
- 特定財産を分与対象外とする
注意点
あまりに一方に不利な内容は、
無効と判断される可能性があります。
どこまで有効かの明確な基準は、
個別事情により異なり、不明確な部分が多いのが実情です。
④ 相続との関係【誤解が多いポイント】
よくある誤解
「婚前契約書で相続のことも全部決められる」
👉 これは誤りです。
相続については、
- 遺言
- 民法の相続規定
が優先されます。
婚前契約書で相続分を完全に決められるかどうかは、
法的に不明確であり、慎重な対応が必要です。
⑤ 紛争解決方法の定め
内容例
- 話し合いを優先する
- 調停・ADRを利用する
これらは、
将来の紛争を円満に解決するための指針として有効です。
書いてはいけない(無効になりやすい)内容
【無効になりやすい内容】
・離婚の自由を制限する
・一切離婚しないと約束させる
・DVや不貞を容認する内容
・一方に極端に不利な条項
実例
「浮気しても一切慰謝料を請求しない」
→ 公序良俗違反として無効となる可能性があります。
婚前契約書の効力を高める方法【重要】
公正証書にする
公正証書とは、
公証人が作成する公文書です。
- 証拠力が高い
- 後日の争いを防ぎやすい
作成時期
👉 必ず婚姻前に作成する必要があります。
婚姻後に作成すると、婚前契約書とは評価されません。
【実例】婚前契約書を作成したケース
ケース設定
- 夫:会社経営者
- 妻:会社員
- 夫は結婚前から会社株式を保有
契約内容
- 株式は夫の特有財産
- 婚姻後の収入は共有財産
- 離婚時は協議を原則とする
👉 事前にルールを決めたことで、安心して結婚生活をスタート
婚前契約書のメリット・デメリット【図解】
【メリット】
・将来のトラブル予防
・財産関係の明確化
・冷静な話し合いができる
【デメリット】
・心理的抵抗感
・内容次第で無効の可能性
・専門家関与が不可欠
行政書士の立場からの注意点
婚前契約書は、
「書けば安心」ではありません。
- 内容の適法性
- 表現の仕方
- 将来の変更可能性
を考慮しなければ、
いざというときに役に立たない可能性があります。
まとめ|婚前契約書は「不安を減らすための道具」
婚前契約書は、
不信感の表れではなく、
お互いの価値観を確認するための手段です。
ただし、
- 有効な内容
- 無効になりやすい内容
の線引きは非常に繊細で、
専門家の関与が不可欠といえます。
婚前契約書の作成でお悩みの方へ
- 婚前契約書を作りたいが内容が分からない
- 本当に効力があるのか確認したい
- 公正証書にしたい
そのような場合は、行政書士事務所へのご相談をご検討ください。
個別事情に応じて、法的に有効性の高い契約内容の整理・文案作成をサポートします。
「将来の安心」は、結婚前の準備から始まります。
不安や疑問がある方は、ぜひ専門家へご相談ください。
