「外国人に生活保護を支給するのは違法なのでは?」という議論は昔からありますが、
結論を明確に言うと次の通りです:
目次
✅ 【結論】
外国人への生活保護は「違法」ではありません。
ただし、「法律上の権利(法的権利)としての受給者」ではなく、
「行政上の措置(裁量による保護)」として行われています。
つまり、
外国人には生活保護法の直接の適用はないけれども、
行政が人道的配慮として保護を行っているというのが法的な立場です。
⚖️ 法的根拠・背景の整理
● 根拠法:生活保護法第1条
「すべての国民に対し、必要な保護を行う」
→ この「国民」という文言がポイントです。
生活保護法は**「日本国民」を対象**とする制度として制定されています。
(=外国人は法律上の「保護対象」ではない)
● 最高裁判例(外国人生活保護訴訟・平成26年7月18日判決)
【事件】大分県宇佐市の永住外国人女性が生活保護の停止処分を不服として訴えた事件。
【最高裁の結論】
外国人は生活保護法の適用対象となる「国民」に該当しない。
ただし、行政が人道的配慮により生活保護に準じた措置を行うことは妨げられない。
📖(引用)
「生活保護法は、我が国の国民を保護の対象とするものであり、
外国人はその適用の対象外であるが、
永住者等については行政措置として生活保護に準じた援助を行うことは許される。」
(最高裁平成26年(行ヒ)第56号判決)
● 厚生労働省の通達
「永住者、日本人の配偶者、永住者の配偶者、定住者」など、
在留資格が安定している外国人については、
生活保護法に準じて保護することができる。
📌 出典:昭和29年5月8日厚生省社会局長通知
「生活に困窮する外国人に対する生活保護法による保護の実施について」
🧭 つまり、現行制度の運用はこうなっています
| 対象者 | 保護の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 日本国民 | 生活保護法に基づく「法的権利」 | 生活保護法 |
| 永住者・定住者など | 行政措置としての「準生活保護」 | 厚労省通達(昭和29年) |
| 短期滞在・留学生・不法滞在者 | 原則対象外 | 同上 |
🌍 外国人が生活保護を受けられる条件(運用上)
- 在留資格が安定していること
(永住者・定住者・日本人配偶者など) - 生活に困窮しており、他の支援制度では足りないこと
- 資産や扶養義務者による支援がないこと(日本人と同じ基準)
⚠️ よくある誤解
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 外国人への生活保護は違法 | ❌ 違法ではない(法の適用外だが行政措置で可能) |
| 外国人は税金を払ってない | ❌ 就労ビザ・永住者は所得税・住民税を納付している |
| 外国人は自動的に生活保護をもらえる | ❌ 日本人と同じ審査・条件がある |
| 不法滞在者も受けられる | ❌ 対象外(不法在留は行政措置の対象外) |
💬 まとめ
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 法律上の対象 | 「日本国民」(生活保護法第1条) |
| 外国人の扱い | 法の適用外だが、行政措置として保護可能 |
| 判例 | 最高裁平成26年7月18日:「外国人は生活保護法の適用対象外」 |
| 実際の運用 | 永住者・定住者・日本人配偶者等は「準生活保護」として保護される |
| 違法か? | ❌ 違法ではない(行政裁量として認められている) |

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