「クリニック(診療所)を開業するには?」病院との違いも含めてわかりやすく解説

クリニックを開業するときに必要な手続きとは?
――「病院」との違いも含めて行政書士がわかりやすく解説
「医師免許があれば、すぐにクリニックを開業できる」
このように考えている方は、実は少なくありません。
しかし実際には、
クリニック(診療所)を開業するためには、医師免許以外にも必要な届出・許可・手続きが多数存在します。
また、
- クリニックと病院の違いがよく分からない
- 病院ほど大がかりでなくても、何か許可は必要なのか
- 行政への手続きは誰に、いつ行うのか
といった点で、開業直前になって慌てるケースも非常に多いのが実情です。
本記事では、
- クリニックを開業するときに必要な許可・届出
- 病院とクリニック(診療所)の法的な違い
- 実務上、特に注意すべきポイント
について、法律初心者の方にも分かるように詳しく解説します。
1.そもそも「クリニック」と「病院」は何が違うのか?
まず最初に、多くの方が混同しやすい
「クリニック」と「病院」の違いから整理します。
(1)法律上の正式名称
実は、「クリニック」という言葉は、
法律上の正式名称ではありません。
医療法では、医療機関を次のように区分しています。
| 一般的な呼び方 | 法律上の名称 |
|---|---|
| クリニック | 診療所 |
| 病院 | 病院 |
つまり、
クリニック=診療所
という位置づけになります。
(2)最大の違いは「病床数」
医療法上、診療所と病院を分ける最大の基準は、
病床(入院用ベッド)の数です。
| 区分 | 病床数 |
|---|---|
| 診療所(クリニック) | 19床以下 |
| 病院 | 20床以上 |
この病床数によって、
必要な手続き・基準・規制が大きく異なります。
2.クリニックを開業するために必要な「基本的な手続き」
ここからは、
クリニック(診療所)を新たに開業する場合に必要な主な手続きを解説します。
(1)医師免許は大前提
当然ですが、
診療を行うためには医師免許が必要です。
これは許可ではなく「資格」ですが、
これがなければ医療行為自体ができません。
(2)診療所開設届(最重要)
クリニック開業において、
最も重要なのがこの手続きです。
診療所開設届とは?
診療所開設届とは、
医療法に基づき、
「この場所で診療所を開設しました」
ということを、
都道府県(多くは保健所)に届け出る手続きです。
提出先と期限
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出先 | 保健所 |
| 提出期限 | 開設後10日以内 |
※「事前許可」ではなく、開設後の届出である点が特徴です。
(3)実例①:診療所開設届を出し忘れたケース
内装工事も終わり、患者も受け入れていたが、
診療所開設届を提出していなかった。
この場合、
医療法違反となる可能性があり、
是正指導や行政指導の対象になることがあります。
3.開設前後に必要なその他の許可・届出
クリニック開業では、
診療所開設届だけで終わりではありません。
(1)保険医療機関指定申請
これは「許可」なのか?
保険医療機関指定は、
健康保険を使った診療を行うために必要な制度です。
| 内容 | 説明 |
|---|---|
| 管轄 | 厚生局 |
| 性質 | 指定(許可に近い) |
| 目的 | 保険診療を行うため |
これがないと、
自由診療のみのクリニックになってしまいます。
(2)麻薬施用者免許・管理者届など
診療科目によっては、次の手続きも必要になります。
| 手続き | 内容 |
|---|---|
| 麻薬施用者免許 | 麻薬を使用する場合 |
| エックス線装置届 | レントゲン設置時 |
| 医療法人設立認可 | 法人経営の場合 |
※これらはすべてケースによって必要・不要が分かれます。
4.【図解】クリニック開業までの流れ(概要)
物件選定
↓
内装・設備計画
↓
事前相談(保健所)
↓
開業
↓
診療所開設届(10日以内)
↓
保険医療機関指定申請
※実務では、事前相談が非常に重要です。
5.病院を開業する場合は何が違うのか?
次に、
病院(20床以上)を開業する場合との違いを見ていきます。
(1)病院は「許可制」
診療所と異なり、
**病院の開設は「許可制」**です。
| 区分 | 手続き |
|---|---|
| 診療所 | 開設届 |
| 病院 | 開設許可 |
つまり、
病院は事前に行政の許可を受けなければ開設できません。
(2)病院は要件が非常に厳しい
病院の場合、次のような厳格な基準があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 人員基準 | 医師・看護師数 |
| 設備基準 | 病室・ナースステーション |
| 構造基準 | 建築・消防 |
| 医療計画 | 地域医療との整合性 |
個人で新規開設するのは、
現実的に非常にハードルが高いのが実情です。
6.実例②:クリニックと思っていたら病院扱いになったケース
入院ベッドを20床設置する計画で内装工事を進めていたところ、
保健所から「病院扱いになる」と指摘された。
この場合、
- 診療所開設届では足りない
- 病院開設許可が必要
- 設計から見直し
となり、
計画そのものが大幅に変更されました。
7.専門用語の補足説明
医療法
医療機関の開設・運営を規制する法律。
診療所
病床数19床以下の医療機関。
病院
病床数20床以上の医療機関。
保健所
医療機関の監督・届出窓口となる行政機関。
8.不明点について
- 自由診療のみの場合の詳細な扱い
- 地域医療計画との関係性の細部
- 自治体ごとの運用差
これらについては、
全国一律の基準がなく、不明な点も存在します。
必ず所管の保健所に事前確認が必要です。
9.まとめ|クリニック開業は「届出だけ」とは限らない
クリニック開業において重要なのは、
- クリニック=診療所であること
- 診療所は原則「届出制」だが、関連手続きは多数あること
- 病院になると「許可制」で要件が激変すること
です。
特に、
- 物件選び
- 病床数
- 設備内容
を誤ると、
想定外の許可・工事・費用が発生するリスクがあります。
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