「自宅を建てるときも建設業許可はいる?」必要な場合と不要な場合、トラブル事例について解説

自宅を建てるときも建設業許可は必要?
――必要な場合・不要な場合を行政書士が徹底解説――
「自分の家を建てるだけなのに、建設業許可って必要?」
「知人に頼んで建ててもらう場合はどうなる?」
建設業許可というと、
「大きな工事を請け負う会社が取るもの」
というイメージをお持ちの方が多いかもしれません。
しかし実務では、
“自宅を建てるケース”でも建設業許可が問題になる場面が少なくありません。
本記事では、
- 建設業許可の基本
- 自宅建設で許可が「不要な場合」
- 自宅建設でも「必要になる場合」
- よくある誤解とトラブル事例
を、行政書士が体系的に解説します。
そもそも建設業許可とは?【基礎知識】
建設業許可とは
建設業許可とは、
一定規模以上の建設工事を「請け負って」行う場合に必要な許可です。
根拠となる法律は、建設業法です。
重要なポイント
建設業許可は、
- 「工事をすること」自体
ではなく、 - 「工事を請け負うこと」
を規制しています。
👉 ここが、自宅建設で判断が分かれる最大のポイントです。
自宅建設に関する判断の全体像【図解】
まずは全体像を見てみましょう。
【自宅建設と建設業許可の考え方】
自分の家を建てる
↓
誰が工事をする?
├─ 自分自身(施主)
│ └→ 原則:許可不要
│
└─ 他人・業者が請け負う
↓
工事金額はいくら?
├─ 500万円未満
│ └→ 原則:許可不要
└─ 500万円以上
└→ 許可が必要
※500万円以上かどうかは、消費税を含めた請負金額で判断します。
建設業許可が「不要な場合」
まずは、自宅を建てる際に建設業許可が不要となる典型例を見ていきます。
ケース① 施主が自分で建てる場合(セルフビルド)
内容
- 自分が土地の所有者
- 自分で材料を購入
- 自分で工事を行う
このような場合、
建設業許可は不要です。
理由
- 「請負契約」が存在しないため
- 建設業法の規制対象外となるため
実例
- 自分で倉庫を建てる
- DIYで小規模な住宅を建築
👉 他人から報酬を受け取っていなければ許可不要
ケース② 工事を業者に頼むが、500万円未満の場合
ポイント
建設業許可が必要かどうかは、
請負金額が500万円以上かどうかで判断されます。
500万円未満とは?
- 工事代金
- 材料費
- 消費税
すべてを含めて、500万円未満である必要があります。
実例
- 外構工事を300万円で依頼
- 増築工事を450万円で依頼
👉 この場合、請け負う業者側に建設業許可は不要
(※施主側も特別な許可は不要)
注意点
「500万円未満に分割すればいいのでは?」
という質問がありますが、
- 実態として一体の工事
であれば、
合算して判断される可能性があります。
どこまでが一体工事かは、
個別判断となり明確な基準は不明です。
建設業許可が「必要になる場合」
次に、自宅建設でも建設業許可が必要となるケースを解説します。
ケース③ 業者が500万円以上で工事を請け負う場合
最も多いケース
- ハウスメーカー
- 工務店
に自宅建設を依頼する場合、
多くは500万円以上の工事になります。
👉 この場合、
工事を請け負う業者に建設業許可が必要です。
重要な注意点
許可が必要なのは、
施主(家を建てる人)ではありません。
👉 **許可が必要なのは「請け負う業者側」**です。
実例
- 木造住宅新築工事:2,000万円
- RC住宅新築工事:4,000万円
👉 請け負う建設会社は、
該当する業種の建設業許可が必須
ケース④ 無許可業者に依頼してしまった場合
これは非常に注意が必要なケースです。
起こり得る問題
- 工事が違法状態
- 業者が処分対象
- 工事中断・トラブル
施主が直接処罰されるかどうかはケースによりますが、
トラブルに巻き込まれるリスクが高いのは事実です。
よくある誤解【重要】
誤解① 自宅なら必ず許可不要?
👉 誤りです。
業者が500万円以上で請け負えば許可が必要です。
誤解② 許可が必要なのは施主?
👉 誤りです。
原則として、**請け負う側(業者)**が許可を取得します。
誤解③ 許可がなくても契約は有効?
👉 ケースによって異なり、
契約の有効性や支払義務の判断は不明確な部分が多いため、慎重な対応が必要です。
自宅建設と建設業許可の要否【比較表】
| 工事の内容・形態 | 誰が工事をするか | 請負金額(税込) | 建設業許可の要否 | 補足説明 |
|---|---|---|---|---|
| セルフビルド | 施主本人 | ― | 不要 | 請負契約が存在しないため、建設業法の規制対象外 |
| 知人・業者に依頼(小規模工事) | 他人・業者 | 500万円未満 | 不要(原則) | 一体工事と判断されると合算される可能性あり(基準は不明) |
| 業者に新築を依頼 | 工務店・ハウスメーカー | 500万円以上 | 必要(業者側) | 許可が必要なのは施主ではなく請負業者 |
| 無許可業者に500万円以上で依頼 | 無許可業者 | 500万円以上 | 本来必要 | 業者は違法状態。施主もトラブルに巻き込まれる可能性あり |
| 増改築・リフォーム | 業者 | 500万円以上 | 必要(業者側) | 新築・リフォームの区別なく金額で判断 |
行政書士の立場から見た注意点
自宅建設では、
- 建築基準法
- 建設業法
- 契約トラブル
が複雑に絡みます。
特に、
「知り合いだから」
「安いから」
という理由で無許可業者に依頼すると、
後から取り返しのつかない問題になることがあります。
まとめ|自宅建設でも「請負金額」が分かれ目
- 自分で建てる → 許可不要
- 業者に依頼
└ 500万円未満 → 原則不要
└ 500万円以上 → 業者に建設業許可が必要
この判断を誤ると、
違法工事・契約トラブルにつながる可能性があります。
自宅建設・業者選びで不安な方へ
- この工事は許可が必要?
- 依頼しようとしている業者は大丈夫?
- 契約前に確認すべき点を知りたい
そのような場合は、行政書士事務所へのご相談をご検討ください。
建設業許可の有無の確認から、工事内容に応じた法的整理までサポート可能です。
「知らなかった」では済まされないのが建設業法です。
安心して自宅を建てるためにも、事前の専門家相談をおすすめします。
