飲食店営業許可は何日かかる?申請から店舗検査・営業開始までの流れを行政書士が解説

「飲食店営業許可は申請してから何日で取れるの?」

「来月オープンしたいけれど、いつ保健所へ申請すればいい?」

飲食店を開業するとき、特に気になるのが営業許可を取得するまでの期間です。

結論からいうと、飲食店営業許可は「申請から必ず○日で取得できる」と全国一律に決まっているわけではありません。

店舗の工事状況、保健所の検査日程、施設基準への適合状況、管轄する自治体などによって変わります。

また、申請書を提出した日から数えるだけでは、実際の開業準備期間を正確に把握できません。

実務では、

事前相談
↓
店舗工事
↓
営業許可申請
↓
施設検査
↓
許可
↓
許可書の交付

という流れで進むため、物件契約や内装工事の段階からスケジュールを考える必要があります。

この記事では、東京都で飲食店を開業する場合を中心に、飲食店営業許可にどの程度の期間を見ておけばよいのか、申請から店舗検査、営業開始までの流れを行政書士が分かりやすく解説します。

目次

飲食店営業許可は「申請すればすぐ営業できる」わけではありません

飲食店営業許可は、申請書を保健所へ提出するだけで取得できるものではありません。

営業する店舗が、食品衛生法や東京都が定める施設基準に適合している必要があります。

そのため、新規開業では基本的に、

  1. 店舗の設計
  2. 保健所への事前相談
  3. 内装・厨房工事
  4. 営業許可申請
  5. 保健所による施設検査
  6. 施設基準への適合確認
  7. 許可
  8. 営業開始

という順番で進めます。

施設検査で基準を満たしていないことが分かれば、その場で許可とはならず、設備等を改善して改めて確認を受ける必要があります。

したがって、「申請日から何日か」だけではなく、工事と検査を含めた全体のスケジュールを考えることが重要です。

飲食店営業許可は何日くらいかかる?

東京都内でも、営業許可書が交付されるまでの日数について自治体ごとに案内が異なります。

例えば墨田区では、施設検査に合格すると許可書を作成し、交付までに数日かかると案内されています。

一方、新宿区では、施設基準への適合確認後、営業許可書の交付まで検査終了後約1週間、具体的には5開庁日程度と案内されています。

つまり、

「東京都なら検査翌日に必ず許可書が出る」

「申請から必ず1週間で営業できる」

といった一律の考え方はできません。

管轄保健所や申請時期、検査状況などによって変わるため、実際の開業日が決まっている場合は管轄保健所へ事前に確認する必要があります。

「申請から許可まで」と「開業準備全体」は分けて考える

飲食店開業では、期間について2つに分けて考えると分かりやすくなります。

申請から許可までの期間

営業許可申請を行い、施設検査を受け、施設基準への適合が確認されて許可されるまでの期間です。

開業準備全体の期間

物件選び、店舗設計、保健所への事前相談、内装工事、厨房設備設置、申請、施設検査などを含めた期間です。

実際には後者のほうが重要です。

内装工事が完成していなければ施設検査を受けられませんし、施設基準を満たさない設計で工事を進めてしまえば、工事後にやり直しが必要になる可能性があります。

そのため、飲食店営業許可は「オープン直前に申請する手続き」と考えないほうが安全です。

STEP1 まず店舗図面を作って保健所へ事前相談する

飲食店を開業するときは、内装工事を始める前に保健所へ相談しておくことをおすすめします。

東京都内の保健所でも、工事着工前に店舗の設計図面などを持参して事前相談するよう案内しているところがあります。

事前相談では、例えば次のような点を確認します。

  • 厨房の区画
  • シンク
  • 手洗い設備
  • 給湯設備
  • 冷蔵・冷凍設備
  • 食品や食器の保管設備
  • 床・壁・天井
  • 給排水設備
  • トイレ
  • 食品衛生責任者

店舗によって必要な確認事項は異なります。

特に居抜き物件では、「以前も飲食店だったからそのまま使える」と考えがちですが、現在の施設基準に適合しているとは限りません。

前の営業者が許可を持っていたことと、新しい営業者がそのまま許可を取得できることは別問題です。

STEP2 事前相談の内容を踏まえて内装工事を進める

保健所との確認後、必要な設備を反映して店舗工事を進めます。

この段階で注意したいのが、事前相談後に店舗レイアウトを大きく変更する場合です。

例えば、

  • 厨房の位置を変えた
  • 手洗器の位置を変えた
  • 客席と厨房の区画を変えた
  • シンクの数を変更した
  • トイレの位置を変更した

といった変更がある場合、事前相談時の図面と完成店舗が異なることになります。

変更内容によっては再確認が必要になるため、大きな設計変更をした場合は工事を進める前に保健所へ相談しておくほうが安全です。

STEP3 営業許可申請をする

店舗の図面や工事予定が固まったら、営業許可申請を行います。

必要書類は自治体や店舗の状況によって確認が必要ですが、一般的には、

  • 営業許可申請書
  • 施設の構造・設備を示す図面
  • 食品衛生責任者の資格を証明するもの
  • 申請手数料
  • 必要な場合は水質検査成績書

などを準備します。

法人の場合は法人番号等の情報も必要になります。

東京都では窓口申請だけでなく、厚生労働省の食品衛生申請等システムを利用した電子申請も可能です。

ただし、オンラインで申請すれば施設検査が不要になるわけではありません。

飲食店営業許可では、施設が基準に適合しているかを実際に確認する工程があります。

申請は店舗完成の何日前にすればいい?

ここは自治体によって案内が異なるため注意が必要です。

例えば新宿区では、申請書類について「施設工事完成予定日の10日くらい前」を目安に提出するよう案内しています。

一方で、すべての自治体が同じ「10日前」という基準で案内しているわけではありません。

したがって、

「東京都の飲食店営業許可は必ず工事完成10日前に申請する」

という理解は適切ではありません。

開業する地域を管轄する保健所の案内を確認して、検査日から逆算して申請時期を決める必要があります。

STEP4 保健所と施設検査の日程を決める

営業許可申請後、保健所の担当者と施設確認検査の日程を調整します。

施設検査は、実際の店舗が申請図面や施設基準に適合しているかを確認する重要な工程です。

原則として、店舗が完成し、必要な設備が確認できる状態で受けることになります。

「まだシンクが付いていない」

「手洗器が未設置」

「冷蔵庫が入っていない」

「厨房と客席の区画が完成していない」

といった状態では、施設基準への適合を十分確認できない可能性があります。

工事業者には、保健所の検査日を伝えて、検査までに必要設備が完成するよう工程を調整してもらいましょう。

STEP5 施設検査を受ける

施設検査では、保健所の担当者が実際に店舗を確認します。

確認される内容は店舗によって異なりますが、主に、

  • 申請図面と実際の店舗が一致しているか
  • 厨房が適切に区画されているか
  • 手洗い設備が基準を満たしているか
  • シンクなど必要な設備があるか
  • 給湯設備が使用できるか
  • 食品・器具類を衛生的に保管できるか
  • 給排水設備に問題がないか
  • 防虫・防そ対策ができているか

などを確認します。

申請書類が完璧でも、実際の店舗が施設基準を満たしていなければ許可を取得できません。

検査に不合格だとどうなる?

施設基準に適合していない部分がある場合は、必要な改善を行うことになります。

改善後、改めて確認を受けることになるため、その分だけ営業開始が遅れる可能性があります。

例えば、

「手洗器が基準に合っていない」

「必要な設備が設置されていない」

「図面と店舗の構造が違う」

といった問題が開業直前に分かると、工事業者の再手配が必要になることもあります。

予定していたオープン日に間に合わなくなる原因になるため、工事前の事前相談が重要なのです。

STEP6 施設基準への適合確認後、許可手続きが進む

施設検査で基準への適合が確認されると、営業許可の手続きが進みます。

ここでも「検査に合格した瞬間に、その場で紙の営業許可書が渡される」とは限りません。

墨田区では、施設検査に合格後、許可書の作成・交付まで数日かかると案内されています。

新宿区では、検査終了後、営業許可書の交付まで約1週間(5開庁日)と案内されています。

自治体によって取扱いが異なるため、許可書が必要となる別の手続きがある場合は特に注意が必要です。

営業許可書を受け取るまで営業できない?

ここは「検査合格日」「許可日」「許可書交付日」を混同しないことが重要です。

紙の許可書を受け取る日と、法的に許可が成立する日は必ずしも同じ意味ではありません。

また、自治体ごとに許可事務の運用があります。

そのため、施設検査後にいつから営業できるのかは、検査時または申請時に管轄保健所へ確認してください。

特にオープン日を確定して広告や予約受付を始める場合は、自己判断で「検査翌日から営業できる」と決めないほうが安全です。

開業日から逆算して考える

例えば、10月20日にオープンしたい場合を考えてみましょう。

10月20日 営業開始予定
↑
許可手続き完了
↑
施設確認検査
↑
厨房・店舗工事完成
↑
営業許可申請
↑
保健所への事前相談
↑
店舗設計

このように逆算します。

重要なのは、検査予定日の直前に工事完成日を設定しすぎないことです。

工事は予定どおり終わらないことがあります。

厨房設備の納品遅れや追加工事なども考えられるため、余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

営業許可が遅れやすいケース

事前相談をせず工事した

完成後に施設基準へ適合していないことが判明すると、追加工事が必要になります。

図面と実際の店舗が違う

申請後にレイアウトを変更した場合などに起こりやすい問題です。

設備が検査日までに完成していない

厨房機器や手洗設備などが未設置だと、適合確認ができないことがあります。

食品衛生責任者の準備ができていない

飲食店営業では食品衛生責任者を定める必要があります。

資格者がいない場合は、養成講習会などの準備も考える必要があります。

検査で改善事項が出た

設備の修正後に再確認となれば、その分だけスケジュールが延びます。

開業直前に申請した

希望日に必ず検査を受けられるとは限りません。

繁忙時期や担当者の日程によって調整が必要になる場合もあるため、余裕を持って申請しましょう。

居抜き物件なら早く許可を取れる?

居抜き物件は厨房設備や内装が残っているため、工事期間を短縮できる可能性があります。

しかし、「居抜きだから許可もすぐ取れる」とは限りません。

確認すべきなのは、

  • 現在の施設基準に適合しているか
  • 前店舗からレイアウトを変更していないか
  • 手洗設備等が基準を満たしているか
  • 設備が正常に使用できるか
  • 新しい営業内容に適した設備になっているか

といった点です。

前店舗の営業許可書が残っていたとしても、新しい営業者へその許可書をそのまま引き継げるとは限りません。

営業者の変更方法によっては、新規申請または事業譲渡による地位承継など別の手続きの検討が必要です。

法人設立前でも準備は進められる?

店舗設計や保健所への事前相談は、正式な申請前から進められます。

そのため、法人設立と店舗工事を並行して進めるケースもあります。

ただし、実際の営業許可申請では営業者を確定させる必要があります。

個人名義で許可を取得した後に法人営業へ切り替える場合などは、別途手続きが必要になる可能性があります。

最初から法人で営業する予定であれば、法人設立時期も含めて開業スケジュールを組んだほうがスムーズです。

オンライン申請なら早くなる?

東京都では、食品衛生申請等システムを利用して営業許可申請を行うことができます。

ただし、電子申請は申請方法の選択肢であって、施設基準への適合確認を省略する制度ではありません。

オンライン申請をした場合でも、飲食店営業許可を取得するためには必要な審査や施設確認があります。

したがって、

「オンライン申請なら即日許可」

というものではありません。

オンラインと窓口のどちらを利用する場合でも、店舗工事と施設検査の日程を中心にスケジュールを考える必要があります。

飲食店開業では消防・警察の手続きも考える

飲食店によっては、保健所の営業許可だけで開業準備が完了しない場合があります。

例えば、店舗の使用開始や内装工事について消防関係の手続きが必要になることがあります。

また、深夜0時以降に酒類を主として提供するバーなどでは、警察署への深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要になる場合があります。

接待を伴う営業であれば、風俗営業許可の検討も必要です。

したがって、開業予定日は飲食店営業許可だけを基準に決めるのではなく、

  • 保健所
  • 消防署
  • 警察署
  • 内装工事
  • 設備搬入

など、店舗に必要な手続きをまとめて逆算することが重要です。

飲食店営業許可を早く進めるためのチェックリスト

開業日が決まっている場合は、次の項目を早めに確認しましょう。

□ 営業内容を決めた

□ 店舗物件を確認した

□ 店舗図面を準備した

□ 工事前に保健所へ相談した

□ 施設基準を確認した

□ 食品衛生責任者を決めた

□ 内装工事の完成日を確認した

□ 厨房設備の納品日を確認した

□ 営業許可申請の必要書類を準備した

□ 施設検査の日程を確認した

□ 消防関係の手続きを確認した

□ 深夜営業をする場合は警察関係の手続きを確認した

□ 許可予定日とオープン日の間に余裕を設けた

よくある質問

Q. 飲食店営業許可は最短何日で取れますか?

一律に「最短○日」とは言えません。

店舗の完成状況、保健所の検査日程、施設基準への適合状況、自治体の事務処理などによって異なります。

開業日が決まっている場合は、管轄保健所へ早めに相談してください。

Q. 店舗が完成してから申請すればいいですか?

完成後まで待つ必要はありません。

自治体によっては、工事完成予定日前に申請書類を提出するよう案内しています。

むしろ重要なのは、工事着工前に図面を持って事前相談することです。

Q. 検査に合格すれば、その日から営業できますか?

検査日、許可日、許可書交付日は区別して考える必要があります。

自治体の運用によって異なるため、実際にいつから営業可能かは管轄保健所へ確認してください。

Q. 許可書は検査当日にもらえますか?

必ずしも当日ではありません。

例えば墨田区では検査合格後の許可書交付まで数日、新宿区では検査終了後約1週間(5開庁日)と案内されています。

Q. 保健所の検査前にプレオープンしてもいいですか?

飲食店営業として許可が必要な営業を、必要な許可を取得する前に開始することはできません。

「プレオープン」という名称にすれば許可が不要になるわけではありませんので注意してください。

Q. 行政書士へ依頼すれば許可が早くなりますか?

行政書士へ依頼したからといって、行政機関の審査期間そのものを特別に短縮できるわけではありません。

一方で、事前相談、必要書類、図面、施設基準などを早い段階で整理することで、書類不備や工事後の修正による遅延を防ぎやすくなります。

まとめ

飲食店営業許可は、「申請から○日」と一律に考えるのではなく、店舗設計から施設検査までを含めてスケジュールを組むことが重要です。

基本的な流れは、

事前相談
↓
店舗工事
↓
営業許可申請
↓
施設検査
↓
施設基準への適合確認
↓
許可
↓
営業開始

となります。

特に重要なのは、内装工事を始める前の事前相談です。

工事完成後に施設基準へ適合していないことが判明すると、追加工事や再検査によって開業日が遅れる可能性があります。

また、許可書の交付時期も自治体によって異なります。

「来月1日に必ずオープンしたい」といった明確な予定がある場合は、オープン日から逆算して、早い段階から保健所との調整を始めることをおすすめします。

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