【2027年4月改正】東京都の宿泊税が大きく変わる!民泊・簡易宿所も対象に

2027年4月1日から東京都の宿泊税が大きく変わります。民泊・簡易宿所も新たに課税対象となり、1人1泊13,000円以上の宿泊料金に3%の宿泊税が課税されます。現行制度との違い、民泊・簡易宿所事業者への影響、計算方法、開業時の注意点を行政書士が分かりやすく解説します。

目次

【2027年4月改正】東京都の宿泊税が大きく変わる!民泊・簡易宿所も対象に

東京都でホテル、旅館、民泊、簡易宿所を経営している方、またはこれから宿泊施設の開業を検討している方にとって、非常に重要な制度変更があります。

東京都の宿泊税制度が見直され、2027年(令和9年)4月1日から新制度がスタートします。

特に大きなポイントは、これまで原則として東京都の宿泊税の対象ではなかった「簡易宿所」と「民泊」が新たに課税対象になることです。

さらに、税額についても現在の「100円・200円」という定額制から、「宿泊料金の3%」という定率制へ変更されます。

東京都は2026年6月30日に総務大臣の同意を得ており、新制度は2027年4月1日から施行されることが正式に決まっています。

近年、東京都内では外国人観光客の増加などを背景として、民泊や簡易宿所への参入を検討する方も増えています。

これから宿泊事業を始める場合は、旅館業許可や住宅宿泊事業の届出だけでなく、宿泊税まで含めて事業計画を考える必要があります。

今回は、富森行政書士事務所の行政書士が、法律や税金に詳しくない方にも分かるように東京都の新しい宿泊税制度を解説します。

そもそも東京都の「宿泊税」とは?

宿泊税とは、東京都内の宿泊施設を利用した宿泊者に課税される地方税です。

一般的な所得税や消費税とは異なり、観光振興のための財源として利用される「法定外目的税」に当たります。

現在は、一定金額以上の料金で東京都内のホテルや旅館に宿泊した場合に宿泊税が発生します。

宿泊施設側は、宿泊者から宿泊税を預かり、東京都へ申告・納入する仕組みになっています。

つまり、基本的に宿泊施設の経営者自身が税金を負担するという制度ではありません。

宿泊者が納税義務者となり、宿泊施設が宿泊者から税金を徴収して東京都へ納めます。

このような仕組みを「特別徴収」といいます。

現在の宿泊税はいくら?

2027年3月31日までの現行制度では、東京都内のホテル・旅館への宿泊について、1人1泊の宿泊料金に応じて税額が決まります。

1人1泊の宿泊料金現在の宿泊税
10,000円未満課税なし
10,000円以上15,000円未満100円
15,000円以上200円

例えば、東京都内のホテルに1人1泊12,000円で宿泊した場合、宿泊税は100円です。

1泊20,000円であれば200円です。

現在は宿泊料金が高くなっても200円が上限となる定額方式です。

2027年4月1日から何が変わる?

今回の改正では、大きく3つの変更があります。

変更1 民泊・簡易宿所も宿泊税の対象になる

宿泊事業者にとって最も重要なのがこの変更です。

2027年4月1日以降は、課税対象となる施設が次のようになります。

施設現行制度2027年4月以降
ホテル対象対象
旅館対象対象
簡易宿所原則対象外対象
住宅宿泊事業(新法民泊)対象外対象
特区民泊対象外対象

東京都が公表している改正内容では、旅館業法上の簡易宿所だけでなく、住宅宿泊事業法に基づく新法民泊や特区民泊も対象になります。

そのため、

「民泊だから宿泊税は関係ない」

「簡易宿所だから宿泊税は払わなくていい」

という現在の認識は、2027年4月以降は通用しなくなります。

変更2 非課税ラインが10,000円から13,000円へ

現在は1人1泊10,000円未満の宿泊について宿泊税が課税されません。

新制度では、この基準が13,000円未満へ引き上げられます。

つまり、

12,000円の宿泊

現在:100円

2027年4月以降:0円

となります。

低価格帯の宿泊については、むしろ宿泊税がかからなくなるケースがあります。

変更3 100円・200円から「宿泊料金の3%」へ

今回の改正でもう一つ大きな変更が、定率制への移行です。

2027年4月1日以降は、1人1泊13,000円以上の場合、

「宿泊料金×3%」

が宿泊税となります。

現在のような100円・200円という固定額ではありません。

宿泊料金が高くなるほど、宿泊税も高くなります。

実際に宿泊税はいくらになる?料金別に比較

新制度を理解するには、具体的に計算してみるのが一番分かりやすいでしょう。

1人1泊の宿泊料金現在2027年4月以降
9,000円0円0円
12,000円100円0円
13,000円100円390円
15,000円200円450円
20,000円200円600円
30,000円200円900円
50,000円200円1,500円
100,000円200円3,000円

例えば、1人1泊20,000円の施設では、

20,000円×3%=600円

となります。

現在の宿泊税は200円なので、税額は400円増える計算です。

一方、12,000円の場合は現在100円ですが、新制度では13,000円未満なので宿泊税はかかりません。

今回の改正は、単純な「宿泊税の値上げ」ではありません。

低価格帯の宿泊については非課税範囲が広がり、高価格帯になるほど負担額が増える制度へ変更されると考えると分かりやすいでしょう。

「宿泊料金」には食事代や消費税も入る?

ここは実務上、非常に重要です。

宿泊税を計算するときの「宿泊料金」は、宿泊者が施設へ支払う総額と必ずしも同じではありません。

東京都では、宿泊税の基準となる宿泊料金について、食事料金などを含まない、いわゆる「素泊まり料金」としています。

例えば、

宿泊代 20,000円

夕食代 5,000円

合計 25,000円

という場合、単純に25,000円の3%を宿泊税とするわけではありません。

宿泊税の対象となる料金を適切に区分する必要があります。

宿泊プランに、

朝食

夕食

サービス

各種オプション

などを組み込んでいる事業者は、料金設定の段階から宿泊税の取扱いを整理しておくことが重要です。

2人で1室に泊まった場合はどうなる?

宿泊税は「1室いくら」ではありません。

基本的には「1人1泊」の宿泊料金を基準に判断します。

例えば、

1室24,000円

2名利用

の場合、単純化すると1人当たり12,000円です。

新制度では13,000円未満なので、宿泊税はかかりません。

一方、

1室40,000円

2名利用

であれば、1人当たり20,000円となります。

20,000円×3%=600円

2人分なので、

600円×2人=1,200円

という計算になります。

複数人向けの民泊や一棟貸し簡易宿所では特に重要なポイントです。

民泊・簡易宿所事業者は何を準備すればいい?

今回の改正では、これまで宿泊税と直接関係がなかった民泊・簡易宿所事業者も制度への対応が必要になります。

2027年4月直前になって慌てるのではなく、早めに準備しておくことをおすすめします。

STEP1 自分の施設が対象か確認する

まず確認するのは、営業形態です。

旅館業法の旅館・ホテル営業

旅館業法の簡易宿所営業

住宅宿泊事業法の民泊

特区民泊

など、どの制度で営業しているかを確認します。

特に民泊と簡易宿所は制度そのものが異なります。

これから開業する場合は、物件や営業日数などを踏まえて、どの制度を利用するかを先に検討する必要があります。

STEP2 宿泊料金の設定を確認する

次に、現在設定している宿泊料金を確認します。

重要なのは「1室料金」だけを見るのではなく、

1人1泊いくらになるのか

という点です。

13,000円を境に宿泊税の有無が変わるため、料金設定によっては宿泊者への表示方法や案内も見直す必要があります。

STEP3 予約サイトの料金表示を確認する

民泊や簡易宿所では、AirbnbなどのOTA(オンライン旅行予約サイト)を利用しているケースが多いでしょう。

宿泊税について、

宿泊料金に含めるのか

現地で別途徴収するのか

予約システム上どのように表示するのか

を整理する必要があります。

プラットフォームごとに取扱いや設定方法が異なる可能性があるため、制度開始前に確認しておくことが重要です。

STEP4 宿泊者から宿泊税を徴収できる体制を作る

宿泊税は宿泊施設による特別徴収です。

つまり施設側が宿泊者から宿泊税を預かり、東京都へ納めます。

有人フロントのホテルであれば比較的対応しやすいですが、無人運営の民泊や簡易宿所では注意が必要です。

現金を扱わない施設では、

予約時に徴収する

オンライン決済を利用する

チェックインシステムと連携する

など、運営方法を考える必要があります。

STEP5 申告・納入の仕組みを整える

現行制度では、特別徴収義務者は原則として毎月末日までに前月分の宿泊税を申告・納入します。

東京都ではeLTAXによる電子申告・電子納税も利用できます。

また、今回の条例改正には、3か月に一度の申告とする特例申告の要件緩和も盛り込まれています。

実際に新制度でどの申告方法を利用するかについては、施行時点の東京都の最新案内を確認しましょう。

民泊・簡易宿所を始めるなら「宿泊税だけ」考えてはいけない

宿泊税は宿泊事業に関係する手続きの一つにすぎません。

例えば、東京都で宿泊施設を始める場合には、営業形態によって次のような制度が関係します。

確認項目主な内容
旅館業法ホテル・旅館・簡易宿所の営業許可
住宅宿泊事業法民泊の届出
建築基準法用途・用途変更・建物の安全性
消防法消防設備・避難設備
自治体条例営業区域・営業日・近隣対応など
宿泊税徴収・申告・納入
食品衛生法飲食提供を行う場合

例えば、「民泊をやりたいから物件を借りた」というケースでも、後から管理規約や自治体条例、消防設備などの問題が判明して営業できないことがあります。

宿泊事業では、物件を契約してから許可を調べるのではなく、物件契約前に必要な手続きを確認することが非常に重要です。

富森行政書士事務所では、宿泊施設を含む各種許認可についてご相談いただけます。

サービスページはこちら

実例 墨田区で一棟貸し簡易宿所を始める場合

例えば、東京都墨田区で戸建住宅を利用して、1日4名程度を受け入れる一棟貸し簡易宿所を始めるケースを考えてみましょう。

1泊1室60,000円で4人が宿泊する場合、単純化すると、

60,000円÷4人=15,000円

1人当たり15,000円です。

2027年4月以降は、

15,000円×3%=450円

となるため、宿泊税は1人450円です。

4人なら、

450円×4人=1,800円

となります。

仮に年間200日稼働し、毎日4人が宿泊するとすると、宿泊税として預かる金額も相当な額になります。

宿泊料金そのものは事業者の売上ですが、宿泊者から預かった宿泊税は東京都へ納める必要があります。

そのため、売上と宿泊税を会計上・運営上きちんと区別して管理することが重要です。

また、この事例では宿泊税以前に、簡易宿所営業許可、消防、建築、自治体のルールなどを確認する必要があります。

「宿泊税だけ対応すれば営業できる」というわけではありません。

開業前チェックリスト

これから東京都で民泊・簡易宿所を始める場合は、最低限次の項目を確認しましょう。

  •  民泊と旅館業のどちらで営業するか決めた
  •  用途地域を確認した
  •  賃貸物件の場合、宿泊事業利用の承諾を確認した
  •  マンションの場合、管理規約を確認した
  •  建築基準法上の問題を確認した
  •  消防設備を確認した
  •  自治体の民泊条例・旅館業条例を確認した
  •  必要な図面を準備した
  •  保健所・消防・建築関係部署への事前相談を検討した
  •  宿泊料金を決めた
  •  2027年4月以降の宿泊税を料金計画に反映した
  •  宿泊税の徴収方法を決めた
  •  OTAの料金表示・徴収方法を確認した
  •  宿泊税の申告・納入方法を確認した

特に物件をこれから契約する場合は、契約前の確認をおすすめします。

数百万円単位で内装工事を行った後に「旅館業許可が取れない」と分かると、大きな損失につながるためです。

よくある質問

Q.民泊でも2027年4月から宿泊税がかかりますか?

はい。

東京都の新制度では、新法民泊と特区民泊も宿泊税の課税対象になります。

ただし、1人1泊の宿泊料金が13,000円未満の場合は課税されません。

Q.簡易宿所も対象ですか?

はい。

2027年4月1日から簡易宿所も課税対象になります。

ゲストハウス、一棟貸し施設など、簡易宿所営業許可で営業している施設は注意が必要です。

Q.13,000円なら宿泊税はいくらですか?

13,000円は課税対象です。

13,000円×3%=390円

となります。

「13,000円未満」が非課税なので、13,000円ちょうどは課税されます。

Q.12,999円なら宿泊税はかかりますか?

新制度では13,000円未満が課税免除となるため、基準となる宿泊料金が12,999円であれば宿泊税は課税されません。

ただし、実際の宿泊料金の判定では料金に含まれる項目などを適切に整理する必要があります。

Q.50,000円の宿泊なら宿泊税はいくらですか?

1人1泊50,000円であれば、

50,000円×3%=1,500円

です。

現行制度では200円なので、高価格帯の宿泊施設では負担額が大きく変わります。

Q.宿泊税を事業者が負担してもいいですか?

宿泊税の納税義務者は宿泊者であり、宿泊施設は原則として特別徴収義務者として徴収・申告・納入を行います。

料金表示やキャンペーンなどを含め、実際の運用については東京都の最新Q&Aを確認したうえで設計することが重要です。

Q.行政書士は宿泊税の税務申告を代行できますか?

税務申告そのものは税理士業務となる場合があるため、行政書士がすべての税務手続きを代理できるわけではありません。

一方、行政書士は旅館業許可、民泊届出など、宿泊施設を開業するための行政手続きを中心にサポートできます。

税務上の判断が必要な場合には税理士へ確認するなど、業務範囲を分けて対応することが重要です。

2027年の制度変更を見据えて今から準備を

東京都の宿泊税は2027年4月1日から大きく変わります。

今回のポイントを整理すると、

項目2027年4月以降
施行日2027年4月1日
ホテル対象
旅館対象
簡易宿所新たに対象
新法民泊新たに対象
特区民泊新たに対象
非課税ライン1人1泊13,000円未満
税率宿泊料金の3%
徴収方法宿泊施設による特別徴収

特に東京都内で民泊や簡易宿所を経営している方にとっては、これまでとは大きく状況が変わります。

また、2026年から2027年にかけて新しく宿泊施設を開業する場合は、開業時点では旧制度でも、数か月後には新制度へ移行するケースがあります。

料金設定、予約サイト、チェックインシステム、会計処理などを途中で変更しなくて済むよう、最初から2027年4月の制度変更を見据えて準備しておくとスムーズです。

東京都は今回の制度変更について、2026年6月30日に総務大臣の同意を得ており、2027年4月1日の施行が正式に決定しています。

民泊・簡易宿所・旅館業のご相談は富森行政書士事務所へ

宿泊施設の開業では、単に申請書を提出するだけではなく、

物件選び

用途地域

建築関係

消防設備

保健所との事前相談

図面作成

旅館業許可

住宅宿泊事業の届出

など、複数の確認事項があります。

特に東京都内では自治体ごとに条例や運用が異なるため、「別の区では営業できたから、この物件でも大丈夫」とは限りません。

富森行政書士事務所では、各種許認可・手続き・書類作成について、法律初心者の方にも分かりやすくご案内しています。

宿泊施設の開業を検討している段階でも、お気軽にご相談ください。

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