特殊車両通行許可とは?対象車両・申請方法・必要書類を行政書士が分かりやすく解説

特殊車両通行許可とは、一定の大きさや重量を超えるトラック、トレーラー、クレーン車などが道路を通行するために必要となる許可です。どんな車両が対象になるのか、一般的制限値、特殊車両通行許可と通行確認制度の違い、申請方法、必要書類、注意点まで行政書士が分かりやすく解説します。

目次

特殊車両通行許可とは?対象車両・申請方法・必要書類を行政書士が分かりやすく解説

大型トレーラーやクレーン車などを仕事で使用している事業者の方であれば、「特殊車両通行許可」や「特車申請」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。

しかし、「大型トラックなら全部必要なの?」「道路使用許可とは何が違うの?」「オンラインで申請できる?」など、制度の仕組みは意外と分かりにくいものです。

道路は、どのような大きさ・重量の車両でも自由に通行できるように設計されているわけではありません。

道路法では車両の幅、高さ、長さ、重量などについて一般的制限値が定められており、これを超える車両については原則としてそのまま通行することができません。

そこで必要になるのが特殊車両通行制度です。

国土交通省では現在、「特殊車両通行許可制度」に加え、令和4年4月から運用されている「特殊車両通行確認制度」も利用できるようになっています。

この記事では、特殊車両通行許可の対象となる車両から申請方法、必要書類、注意点まで分かりやすく解説します。

特殊車両通行許可とは?

特殊車両通行許可とは、道路法で定められた一定の大きさや重量を超える車両を道路で通行させる場合に、道路管理者から受ける許可です。

道路は一定の重量や寸法の車両が安全かつ円滑に通行できることを前提として設計されています。

その基準を超える大型車両が自由に通行すると、橋や道路を損傷したり、トンネルや交差点などで交通上の危険が発生したりする可能性があります。

一方、建設工事や物流では大型車両を使用しなければならない場面があります。

そこで、道路管理者が車両の構造や積載する貨物が特殊であると認めた場合に、必要な条件を付けて通行を認める仕組みが設けられています。

どんな車が「特殊車両」になる?

「特殊車両」という名前から、特殊な用途に使う車だけが対象だと思われることがあります。

実際には車両の用途だけで判断するわけではありません。

車両の構造が特殊である場合や、運搬する貨物が特殊で、幅・長さ・高さ・総重量などが道路法上の一般的制限値を超える場合に特殊車両となります。

国土交通省では代表例として、トラッククレーンなどの自走式建設機械や各種トレーラー連結車などを挙げています。(KTR)

特殊車両になりやすい代表例

車両特車申請が問題になりやすい理由
セミトレーラー全長・総重量など
フルトレーラー全長・総重量など
トラッククレーン車両重量・構造
大型建設機械重量・寸法
タンクトレーラー車両構造・重量
コンテナトレーラー高さ・長さ・重量
自動車運搬車高さ・長さ
重量物運搬車総重量

重要なのは車種名だけで判断しないことです。

同じ種類の車両でも、車両諸元や積載物、通行する道路によって許可の必要性が変わる場合があります。

一般的制限値とは?

道路法では、道路を自由に通行できる車両について一定の制限値が設けられています。

確認する主な項目は、

高さ

長さ

総重量

軸重

隣接軸重

輪荷重

最小回転半径

などです。

いずれかが道路法上の一般的制限値を超える場合、特殊車両通行制度の確認が必要になります。

さらに、橋、高架道路、トンネルなどでは、その道路固有の制限が設定されている場合があります。

道路使用許可との違いは?

特殊車両通行許可と混同されやすいのが「道路使用許可」です。

名前は似ていますが、目的も根拠法令も異なります。

項目特殊車両通行許可道路使用許可
主な根拠道路法道路交通法
主な目的大型・重量車両の通行道路上での工事・作業等
主な対象特殊車両道路工事、作業、イベント等
主な申請先道路管理者警察署長
判断ポイント車両寸法・重量・経路道路上で行う行為

例えば、大型クレーン車を工事現場まで走行させるために特殊車両通行許可が必要となり、さらに道路上へクレーン車を設置して作業するために道路使用許可が必要になるケースがあります。

つまり、業務内容によっては両方の手続きが必要です。

道路使用許可についても富森行政書士事務所でご相談いただけます。

特殊車両通行許可と特殊車両通行確認制度の違い

現在は従来の「特殊車両通行許可制度」だけでなく、「特殊車両通行確認制度」という制度があります。

特殊車両通行確認制度は令和4年4月から運用が始まりました。

あらかじめ登録された車両について、道路情報が電子化されている道路を対象として、システム上で通行可能な経路を確認する制度です。

国土交通省によると、出発地と目的地を入力することで複数の通行可能経路が表示され、従来の許可制度と比較して迅速に通行できることが特徴です。

2つの制度を比較

項目通行許可制度通行確認制度
手続き道路管理者へ申請システムで確認
車両登録申請時に情報提出事前登録が必要
経路申請した経路システムで複数経路を確認可能
審査必要電子化道路なら即時確認可能
向いているケース特定経路を通行したい場合頻繁に複数経路を利用する場合

どちらを利用するかは、車両や経路、事業内容によって判断します。

STEP1 車両が対象になるか確認する

最初に車検証などから車両の寸法や重量を確認します。

トレーラーの場合は、トラクタとトレーラーの組み合わせも重要です。

「大きそうだから申請する」「大型車だから不要」と感覚で判断せず、車両諸元を確認しましょう。

STEP2 通行経路を決める

次に出発地から目的地までの経路を決めます。

特殊車両通行許可では「どこを通るか」が非常に重要です。

国道だけを走るとは限らず、

国管理道路

都道府県道

市区町村道

高速道路

など複数の道路管理者が管理する道路を通行するケースがあります。

申請前に正確な経路を整理しておく必要があります。

STEP3 必要書類を準備する

申請では車両や経路に関する資料を準備します。

代表的なものとして、

車両に関する資料

車両諸元

車検証情報

車両内訳

通行経路

経路図

などがあります。

申請内容によって必要書類は変わるため、車両と経路を整理してから準備することがポイントです。

STEP4 オンラインで申請する

特殊車両通行許可はオンライン申請に対応しています。

国土交通省の特車ポータルサイトから申請手続きを行うことができ、初めて利用する場合はユーザーIDの登録が必要です。

オンライン申請を利用することで、原則として窓口へ出向かずに手続きを進めることができます。

STEP5 審査・許可

申請後、通行経路について審査が行われます。

橋梁の耐荷重、道路幅員、交差点の形状、高さ制限などの条件によっては個別審査が必要になることがあります。

審査結果によっては、徐行や誘導車の配置などの条件が付されることもあります。

許可条件を確認したうえで運行することが重要です。

申請にはどのくらい時間がかかる?

特殊車両通行許可では、経路や道路状況によって審査期間が大きく変わります。

国土交通省の案内でも、申請件数の増加などによって審査に時間がかかる場合があるため、余裕を持った申請が案内されています。

工事開始日や運送日が決まっている場合は、直前ではなく早めに準備しましょう。

特に個別審査が必要な経路では時間がかかる可能性があります。

特殊車両通行許可のチェックリスト

申請前に次の項目を確認してみましょう。

□ 車検証を準備している

□ 車両の幅・高さ・長さを確認した

□ 車両の総重量を確認した

□ 積載する貨物を確認した

□ 出発地と目的地が決まっている

□ 通行経路を確認した

□ トラクタとトレーラーの組み合わせを確認した

□ 運行開始日まで余裕がある

□ 道路使用許可など別の許可が必要か確認した

一つでも不明な項目がある場合は、申請前に整理しておくことをおすすめします。

実例1 建設現場まで大型クレーン車を走らせる

建設工事のため大型クレーン車を現場へ搬入するケースです。

車両の重量や寸法が一般的制限値を超えていれば、現場までの通行について特殊車両通行許可を検討します。

さらに現場到着後、公道上に車両を設置してクレーン作業をする場合には、道路使用許可や道路占用許可が必要となる可能性があります。

「車を走らせる許可」と「道路上で作業する許可」は別の手続きとして考える必要があります。

実例2 トレーラーで大型機械を運搬する

工場から建設現場まで大型機械をトレーラーで輸送するケースです。

この場合はトレーラーそのものだけでなく、積載状態での重量や寸法を確認します。

また、出発地から目的地までの経路に狭い道路や橋梁が含まれていれば、希望する経路がそのまま認められるとは限りません。

事前に車両諸元と経路を正確に整理することが重要です。

実例3 同じ車両で複数の現場へ頻繁に行く

同じ特殊車両を使用して複数の工事現場や物流拠点へ頻繁に移動する事業者の場合、特殊車両通行確認制度が適しているケースがあります。

確認制度では、事前登録された車両について出発地・目的地を入力し、電子化された道路情報を利用して通行可能経路を確認できます。

従来の許可制度とどちらが適しているか、運行形態から判断するとよいでしょう。

特殊車両通行許可で注意したいポイント

希望した経路を必ず通れるわけではない

大型車両が物理的に走れそうな道路でも、道路構造上の理由から許可されない場合があります。

橋梁、道路幅、高さ、交差点などさまざまな条件が審査されます。

許可条件を守る必要がある

許可されたから自由に走行できるわけではありません。

許可証に通行条件が付されている場合には、その条件を守って運行する必要があります。

申請窓口の選択にも注意する

国土交通省は、審査迅速化の観点から、申請経路の起終点等を管轄する地方整備局・事務所を申請窓口として指定するよう案内しています。

適切でない窓口を選択すると、申請確認や審査に時間を要する可能性があります。

Q&A

Q1 大型トラックなら必ず特殊車両通行許可が必要ですか?

必ず必要になるわけではありません。

車種名だけではなく、実際の寸法、重量、積載物、通行道路などから判断します。

Q2 特車申請はオンラインでできますか?

可能です。

国土交通省の特車ポータルサイトから特殊車両通行申請を行うことができます。

国土交通省 特車ポータルサイト

Q3 道路使用許可を取れば特殊車両通行許可はいりませんか?

別の制度です。

道路使用許可は道路上で工事や作業などを行う場合に問題となる許可であり、特殊車両通行許可は一定の大きさ・重量を超える車両を通行させるための制度です。

業務内容によっては両方必要になる場合があります。

Q4 急ぎで特殊車両を走らせたい場合は?

通行する道路や車両が制度の対象となる場合、特殊車両通行確認制度を利用できる可能性があります。

確認制度では道路情報が電子化された道路についてオンラインで即時に通行可能経路を確認できる仕組みがあります。

Q5 行政書士に依頼できますか?

特殊車両通行許可申請は行政書士が取り扱う代表的な許認可業務の一つです。

特に複数車両、トレーラー、複数経路などを扱う事業者では、車両情報や経路の整理に手間がかかるため、専門家へ依頼するメリットがあります。

特殊車両通行許可は早めの準備が重要

特殊車両通行許可は、大型車両を使用する建設業者、運送業者、重量物輸送業者などにとって重要な手続きです。

申請では車両の寸法や重量だけではなく、積載物や通行経路まで確認する必要があります。

また現在は従来の特殊車両通行許可制度に加えて特殊車両通行確認制度も運用されているため、事業者の運行形態に適した制度を選択することが重要です。

「この車両は特車申請が必要なのか分からない」「複数の現場を走るので経路申請が大変」「道路使用許可もまとめて相談したい」といった場合には、早い段階で専門家へ相談すると手続きをスムーズに進めやすくなります。

富森行政書士事務所では、特殊車両通行許可をはじめ、道路使用許可・道路占用許可など事業に必要となる各種許認可手続きをサポートしています。

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