道路使用許可と道路占用許可の違いとは?足場・クレーン・資材搬入で両方必要になるケースを行政書士が解説

建物の工事や外壁塗装、解体工事などを行う際、

「道路使用許可を取ってください」

「これは道路占用許可も必要です」

と言われることがあります。

名前が似ているため混同されやすいのですが、「道路使用許可」と「道路占用許可」は別の手続きです。

さらに、

「警察署の許可だけでいいと思っていた」

「足場を設置してから道路占用許可が必要だと分かった」

「クレーン車を数時間停めるだけなのに何の許可が必要なのか分からない」

といったケースも少なくありません。

道路上で工事や作業を行う場合には、

・何をするのか
・道路をどのくらい使用するのか
・物を道路上に設置するのか
・道路を一時的に使用するのか
・一定期間継続して使用するのか

によって必要な手続きが変わります。

今回は、東京都で建築工事などを行う場合を中心に、道路使用許可と道路占用許可の違い、両方の許可が必要になるケース、申請前に確認しておきたいポイントを分かりやすく解説します。

目次

道路使用許可と道路占用許可は何が違う?

まず、大きな違いを整理しましょう。

項目道路使用許可道路占用許可
主な根拠法道路交通法道路法
主な目的交通の安全・円滑を確保する道路を適正に管理する
申請先管轄警察署道路管理者
代表例クレーン作業、資材搬入、工事作業など足場、仮囲い、看板など
使用形態道路上で工事・作業等を行う工作物等を設置して継続使用する
費用審査手数料占用料が発生する場合がある

簡単に整理すると、

「道路上で作業をする」

ことについて警察署から受けるのが道路使用許可です。

一方、

「道路に物を設置して継続的に使用する」

ことについて道路管理者から受けるのが道路占用許可です。

ただし、実際の工事では両方に該当することがあります。

道路使用許可とは?

道路は、本来、人や車が通行するための場所です。

その道路を工事や作業など、本来の交通目的以外の目的で使用する場合、道路交通法に基づいて道路使用許可が必要になることがあります。

許可を行うのは、その場所を管轄する警察署長です。

東京都の場合は、現場を管轄する警察署へ申請します。

例えば墨田区内の会社が世田谷区の現場で工事をする場合、会社所在地を管轄する警察署ではなく、工事現場を管轄する警察署が基本的な申請先となります。

道路使用許可が必要になる代表例

建築・工事関係では、次のようなケースが代表的です。

・クレーン車を道路上に配置して作業する
・道路上で資材を搬入・搬出する
・コンクリート打設を行う
・作業車を道路上に配置して工事する
・道路上で工事作業を行う

このほか、

・祭礼
・パレード
・ロケ撮影
・撮影会
・募金
・署名活動
・物品販売

なども、状況によって道路使用許可の対象となります。

つまり、道路使用許可は建設会社だけに関係する制度ではありません。

イベント会社や映像制作会社、店舗などにも関係する手続きです。

東京都の道路使用許可手数料はいくら?

2026年9月現在、東京都における道路使用許可の審査手数料は、主に次のようになっています。

申請内容手数料
工事・作業2,700円
工事・作業以外原則2,100円
年間を通じて行う一定の縁日露店等1,100円

注意したいのは、これは「道路を借りる料金」ではなく、警察署で道路使用許可を審査するための手数料という点です。

道路占用許可に伴う占用料とは別のものです。

道路占用許可とは?

道路占用とは、道路に一定の工作物や施設などを設け、継続して道路を使用することをいいます。

根拠となるのは道路法です。

例えば、

・工事用足場
・仮囲い
・看板
・日よけ
・電柱
・電線
・水道管
・ガス管

などが代表的な占用物件です。

また、「道路」というと地面だけを想像しがちですが、道路占用の対象となる道路空間には上空や地下も含まれます。

そのため、

「地面には何も置いていないから道路占用ではない」

とは限りません。

建物から道路上空へ突き出す看板などについても、道路占用許可が問題になることがあります。

道路占用許可はどこに申請する?

道路使用許可は警察署ですが、道路占用許可の申請先は道路管理者です。

ここが非常に重要です。

道路管理者は道路によって異なります。

例えば、

・国道
・都道
・区道
・市道

などによって、道路を管理している行政機関が異なります。

東京都が管理する都道であれば、原則としてその地域を所管する建設事務所などが窓口になります。

区道であれば、その区の道路管理担当部署が窓口になるのが一般的です。

そのため、道路占用許可を申請する際には、最初に

「現場前の道路を誰が管理しているのか」

を確認する必要があります。

足場を道路にはみ出して設置する場合は?

外壁塗装や建物改修工事で非常に多いのが、足場のケースです。

敷地内だけで足場を組めれば道路占用の問題は通常生じません。

しかし、

「建物と道路の境界ギリギリに建っている」

「敷地内だけでは足場を組めない」

という場合があります。

そこで、足場の一部を道路上へ設置する必要が生じることがあります。

この場合、足場を道路上に一定期間設置することになるため、道路占用許可が必要になる可能性があります。

さらに、足場の組立て・解体作業などで道路を使用する場合には、道路使用許可も必要になることがあります。

つまり、

道路占用許可
+
道路使用許可

の両方が必要になる代表的なケースです。

仮囲いも道路占用許可の対象になることがある

建築現場では、安全確保のために仮囲いを設置することがあります。

これも道路区域内へ設置する場合には、道路占用許可の対象となることがあります。

「工事現場を囲うためのものだから自由に置ける」

わけではありません。

道路上へ設置する以上、

・どこまで道路へ出るのか
・歩行者が安全に通行できるか
・車両交通へ影響しないか
・設置期間はどのくらいか

などを確認する必要があります。

クレーン車を道路上に停める場合は?

次に多いのがクレーン作業です。

例えば、

道路上にクレーン車を配置
↓
建物へ資材を吊り上げる
↓
作業終了後にクレーン車を撤去

というケースです。

このような場合は、道路上で工事・作業を行うことになるため、道路使用許可が問題になります。

警視庁も、クレーンを使用した資材搬出入を道路使用許可が必要となる作業例として挙げています。

一方、クレーン車を作業時間中だけ配置し、作業終了後に撤去するケースでは、足場のように一定期間継続して工作物を道路上へ設置するケースとは性質が異なります。

そのため、

「クレーン車を道路に停める=必ず道路占用許可」

と考えるのではなく、具体的な使用方法を確認します。

資材の積み下ろしは?

建築現場では、

・足場材
・建築資材
・設備機器
・家具
・大型機械

などをトラックから積み下ろすことがあります。

道路上に作業車両を配置し、交通へ影響を与えながら資材の搬入・搬出を行う場合には、道路使用許可が必要になる可能性があります。

特に、

・車線の一部を塞ぐ
・歩道を使用する
・通行人を誘導する必要がある
・交通誘導員を配置する
・一定時間道路上で作業する

といったケースでは、事前に管轄警察署へ確認しておくことが重要です。

「道路を一時的に使うだけ」でも許可が必要?

「30分だけだから大丈夫」

「1時間だけの作業だから許可はいらない」

とは限りません。

道路使用許可の要否は、単純に作業時間だけで決まるものではありません。

道路上でどのような作業を行い、一般交通へどのような影響を与えるのかが重要です。

短時間の作業でも、道路上でクレーン作業などを行えば許可が必要になることがあります。

逆に、道路上に車両を配置しない、敷地内だけで作業が完結するなど、道路を使用しないのであれば道路使用許可が問題にならない場合もあります。

道路使用許可と道路占用許可の両方が必要になるケース

実務上、最も混乱しやすい部分です。

例えば、建物の外壁工事のため、歩道上へ足場を2週間設置するとします。

この場合、

「足場を道路上へ継続して設置する」

という点では道路占用許可が問題になります。

さらに、

「足場の組立て・解体などのため道路上で作業する」

という点では道路使用許可が問題になります。

つまり、一つの工事について、

警察署
+
道路管理者

という2つの行政機関が関係する場合があります。

道路使用許可を取得したからといって、道路占用許可まで取得したことにはなりません。

逆も同じです。

警察署と道路管理者では見ているポイントが違う

なぜ2つの許可が必要になるのでしょうか。

それは、それぞれの制度の目的が違うためです。

警察署

主に、

・車両交通への影響
・歩行者の安全
・作業時間
・交通誘導員の配置
・作業車両の位置
・迂回方法

など、交通の安全・円滑という観点から確認します。

道路管理者

主に、

・道路上に何を設置するのか
・占用面積
・設置位置
・設置期間
・道路構造への影響
・歩行空間の確保

など、道路そのものを適正に管理する観点から確認します。

同じ図面を使用する場合でも、審査する目的が違います。

交通誘導員は必ず必要?

道路工事では、交通誘導員の配置を求められることがあります。

例えば、

・車線を一部塞ぐ
・歩道を塞ぐ
・作業車両が頻繁に出入りする
・歩行者を反対側へ誘導する
・交互通行にする

といったケースです。

ただし、

「道路使用許可を取れば必ず2名必要」

といった全国一律のルールではありません。

道路幅員、交通量、作業内容、時間帯などを踏まえて警察署との協議で決まります。

申請図面には、交通誘導員の配置位置を記載することがあります。

道路使用状況図とは?

道路使用許可申請では、現場の使用状況を示す図面が重要になります。

一般的には、

・道路幅員
・歩道幅員
・作業車両
・作業帯
・資材
・カラーコーン
・交通誘導員
・歩行者通路
・車両通行部分

などを記載します。

警察署は、この図面を見て、

「一般車両が通行できるか」

「歩行者が安全に通れるか」

「誘導員の配置は適切か」

などを確認します。

そのため、単なる住宅地図だけでは足りないことがあります。

現場写真も準備しておく

道路使用許可や道路占用許可の事前相談では、現場写真があると話が進みやすくなります。

例えば、

・道路全体
・建物正面
・道路の左右方向
・歩道
・電柱
・ガードレール
・標識
・横断歩道
・交差点

などを撮影しておきます。

図面だけでは分からない道路状況を行政機関へ説明できるためです。

特に狭い道路や交差点付近では、現地状況が許可条件に影響することがあります。

道路占用には占用料が発生する場合がある

道路使用許可では警察署への審査手数料がかかります。

これに対し、道路占用では占用物件、面積、期間、道路の種類などに応じて占用料が発生する場合があります。

東京都でも道路占用料が条例で定められており、2026年4月1日から都道の占用料単価が改定されています。

そのため、

「道路使用許可の2,700円だけ用意すればよい」

とは限りません。

足場などで道路占用許可も必要な場合には、別途占用料を確認する必要があります。

道路使用許可を取れば路上駐車していい?

ここも誤解されやすいポイントです。

道路使用許可は、

「好きな場所へ自由に車を停められる許可」

ではありません。

許可申請した目的、場所、時間、方法などに従って道路を使用する必要があります。

例えば、

「クレーン作業のため道路を使用する」

として許可を受けたのであれば、その許可内容に従って作業を行います。

工事と関係のない車両を自由に駐車できるようになるわけではありません。

許可を取った後に日程が変わったら?

工事では、

「雨で作業できなくなった」

「職人の予定が変わった」

「資材の到着が遅れた」

など、日程変更が起こることがあります。

東京都では、道路使用許可を受けた後でも一定の範囲で記載事項変更届による変更が可能です。

例えば、

・現場代理人の変更・追加
・許可期間の短縮
・許可期間開始前の期間変更
・同一路線上でのわずかな実施場所変更
・資器材や交通誘導員の配置変更

などです。

一方、許可期間開始後の期間変更や、改めて審査が必要となる大きな場所変更などは、変更届では対応できず、新たな申請が必要になる場合があります。

工事日程が変わった場合は、そのまま作業せず警察署へ確認しましょう。

道路使用許可申請の基本的な流れ

STEP1 現場を確認する

まず道路幅員、歩道、交通量、周辺状況などを確認します。

STEP2 道路の管理者を確認する

道路占用の可能性がある場合には、国道・都道・区道など、誰が管理する道路なのか確認します。

STEP3 警察署へ事前相談する

工事内容や道路使用方法について、現場を管轄する警察署へ確認します。

STEP4 道路管理者へ相談する

足場、仮囲いなどを道路へ設置する場合には、道路管理者へ道路占用許可について相談します。

都道の道路占用許可については、電子申請が利用できる場合もありますが、東京都は申請前に建設事務所との事前協議を行うよう案内しています。

STEP5 図面を作成する

道路使用状況図、位置図など、必要な図面を準備します。

STEP6 申請する

道路使用許可は現場を管轄する警察署へ、道路占用許可は道路管理者へ申請します。

STEP7 許可条件を確認する

許可証が交付されたら、

・作業時間
・交通誘導員
・作業方法
・道路の使用範囲

などの条件を確認してから工事を行います。

工事前チェックリスト

道路上または道路付近で工事を行う場合には、次の項目を確認しておきましょう。

□ 道路上で作業するか
□ 作業車両を道路上へ配置するか
□ クレーン車を使用するか
□ 資材を道路上で搬入・搬出するか
□ 足場が敷地から道路へ出ないか
□ 仮囲いが道路へ出ないか
□ 看板などを道路上空へ設置しないか
□ 現場前の道路管理者を確認したか
□ 道路幅員を確認したか
□ 歩行者の通路を確保できるか
□ 交通誘導員が必要か確認したか
□ 警察署へ事前相談したか
□ 道路管理者へ事前相談したか
□ 現場写真を撮影したか
□ 道路使用状況図を作成したか
□ 工事日程に変更がないか

一つでも判断できない項目がある場合には、工事開始前に確認しておくことをおすすめします。

よくある失敗

道路使用許可だけ取ればいいと思っていた

足場や仮囲いを道路へ継続して設置する場合には、道路占用許可も必要になる可能性があります。

道路占用許可だけ取って工事を始める

道路占用許可を取得していても、道路上で工事・作業を行う場合には道路使用許可が必要になることがあります。

工事直前に申請する

道路の使用方法によっては、図面の修正や交通誘導員の追加などを求められることがあります。

工事日が決まったら早めに確認しましょう。

会社所在地の警察署へ申請する

道路使用許可は、原則として実際に道路を使用する場所を管轄する警察署へ申請します。

現場住所だけで道路管理者を判断する

同じ区内でも都道と区道が存在します。

道路占用許可を行う場合には、道路管理者の確認が必要です。

道路使用許可と道路占用許可は「工事内容」から判断する

道路使用許可と道路占用許可を判断するときに重要なのは、

「工事だから道路使用許可」

「足場だから道路占用許可」

と名称だけで決めないことです。

例えば同じ外壁工事でも、

敷地内だけで足場・作業が完結するケース

と、

歩道上へ足場を設置し、道路上に作業車を配置するケース

では必要な手続きが変わります。

確認すべきなのは、

「道路上で何をするのか」

「何を置くのか」

「どのくらいの期間使用するのか」

です。

まとめ

道路使用許可と道路占用許可は、名前は似ていますが別の制度です。

道路使用許可は、道路交通法に基づき、道路上で工事・作業などを行う場合に警察署長から受ける許可です。

道路占用許可は、道路法に基づき、足場や仮囲いなどの物件を設置して道路を継続的に使用する場合に道路管理者から受ける許可です。

特に、

・足場
・仮囲い
・クレーン作業
・資材搬入
・外壁工事
・解体工事

などでは、一つの工事について道路使用許可と道路占用許可の両方が必要になることがあります。

工事直前になって許可が必要だと分かると、工期そのものに影響する可能性があります。

そのため、

現場確認
↓
道路管理者確認
↓
警察署・道路管理者への事前相談
↓
図面作成
↓
申請
↓
許可後に工事

という順番で進めることが重要です。

富森行政書士事務所では、道路使用許可・道路占用許可について、許可要否の確認、管轄確認、行政機関への事前相談、申請書類・道路使用状況図等の作成、申請手続きをサポートしています。

「道路使用許可だけでよいのか分からない」「足場が道路へ出るが何の許可が必要か確認したい」「工事日が決まっているので手続きを進めたい」という段階からでもご相談いただけます。

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