警備会社を開業するには?警備業認定の要件・必要書類・費用・申請方法を行政書士が解説

警備会社を開業するには、原則として公安委員会の「警備業認定」が必要です。1号・2号・3号・4号警備の違い、警備員指導教育責任者、認定要件、必要書類、費用、申請先、開業までの流れを東京都の手続きを中心に行政書士が分かりやすく解説します。
警備会社を開業するには?警備業認定の要件・必要書類・費用・申請方法を行政書士が解説
「交通誘導の警備会社を立ち上げたい」
「ビルや店舗の警備を請け負いたい」
「法人を設立すれば、すぐ警備業を始められる?」
警備会社の設立を検討している方から、このような疑問を持たれることがあります。
警備業は、会社を設立して警備員を採用すれば自由に始められる事業ではありません。
他人の需要に応じて警備業務を行う場合には、原則として警備業法に基づき、都道府県公安委員会の認定を受ける必要があります。
さらに、営業所ごと・取り扱う警備業務の区分ごとに「警備員指導教育責任者」を選任しなければなりません。
特に新規参入で問題になりやすいのが、この警備員指導教育責任者です。
会社を作った後になって、
「責任者になれる人がいない」
と判明すると、予定していた時期に営業を開始できない可能性があります。
この記事では、東京都で警備会社を開業する場合を中心に、警備業認定とは何か、1号から4号までの警備業務の違い、認定要件、警備員指導教育責任者、必要書類、申請費用、開業までの流れについて行政書士が分かりやすく解説します。
警備業とは?
警備業とは、他人の需要に応じて警備業務を行う事業です。
典型的な例としては、
・オフィスビルの警備
・商業施設の警備
・工事現場の交通誘導
・イベント会場の雑踏警備
・現金や貴重品の運搬警備
・要人の身辺警護
などがあります。
重要なのは「他人の需要に応じて行う」という点です。
例えば、自社の社員が自社施設の入口で来訪者を確認するだけであれば、通常、他人から依頼を受けて警備業務を提供しているわけではありません。
一方、警備会社として契約を締結し、取引先の施設や工事現場などへ警備員を配置する場合には、警備業に該当することになります。
警備会社の開業には公安委員会の認定が必要
新しく警備業を始める場合には、公安委員会の認定を受けなければなりません。
東京都であれば東京都公安委員会の認定を受けることになります。
実際の申請窓口は、原則として主たる営業所の所在地を管轄する警察署です。
東京都内の場合は、管轄警察署の生活安全課が窓口になります。
ここで注意したいのが、警備業の手続きは単なる「開業届」ではないことです。
会社を設立しただけでも、税務署へ開業関係の届出をしただけでも、警備業を開始することはできません。
公安委員会による認定を受けてから営業を開始する必要があります。
警備業務は1号から4号までの4種類
警備業務は、業務内容によって大きく4種類に分かれています。
| 区分 | 主な警備業務 | 代表例 |
|---|---|---|
| 1号警備 | 施設等の警備 | ビル、店舗、住宅、駐車場など |
| 2号警備 | 交通誘導・雑踏警備 | 工事現場、イベント会場など |
| 3号警備 | 貴重品等の運搬警備 | 現金、貴金属、美術品など |
| 4号警備 | 身辺警備 | 要人・個人のボディーガードなど |
どの警備業務を行うのかによって、必要となる警備員指導教育責任者の資格区分も変わります。
1号警備業務とは?
1号警備業務は、事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地などにおいて、盗難などの事故の発生を警戒し、防止する業務です。
代表的なのが施設警備です。
例えば、
・オフィスビルの出入管理
・商業施設内の巡回
・駐車場の警備
・マンションの警備
・店舗の警備
などが該当します。
警備業という言葉から一般的にイメージされる業務の一つです。
2号警備業務とは?
2号警備業務は、人や車両が多く集まる場所や、通行に危険がある場所で事故の発生を警戒・防止する業務です。
代表的なのが、
・道路工事の交通誘導
・建設工事現場の交通誘導
・駐車場での車両誘導
・祭りや花火大会の雑踏警備
・コンサート会場の雑踏警備
などです。
建設会社や道路工事会社などから交通誘導を受託する警備会社を始める場合は、2号警備業務が中心となります。
新規で警備会社を立ち上げる際に検討されることが多い分野の一つです。
3号警備業務とは?
3号警備業務は、運搬中の現金、貴金属、美術品などについて、盗難などの事故を警戒・防止する業務です。
例えば、
・金融機関の現金輸送
・店舗の売上金輸送
・貴金属の輸送警備
・美術品の運搬警備
などがあります。
通常の施設警備や交通誘導とは性質が異なり、高度な安全管理が求められる分野です。
4号警備業務とは?
4号警備業務は、人の身体に対する危害の発生を、その人の身辺で警戒・防止する業務です。
いわゆる身辺警備やボディーガードです。
例えば、
・著名人の警護
・企業経営者の警護
・イベント出演者の警護
・危害を受ける可能性がある個人の警護
などが考えられます。
警備業認定で重要な「警備員指導教育責任者」
警備会社を新規開業する際、最初に確認したいのが警備員指導教育責任者を確保できるかどうかです。
警備業者は、営業所ごと、さらにその営業所で取り扱う警備業務の区分ごとに、警備員指導教育責任者を選任する必要があります。
例えば、ある営業所で2号警備業務のみを行うのであれば、2号警備業務に対応した警備員指導教育責任者が必要になります。
一方、同じ営業所で1号警備と2号警備の両方を行う場合には、それぞれの区分に対応できる体制を整えなければなりません。
警備員指導教育責任者とは?
警備員指導教育責任者は、警備員に対する指導や教育などを行う重要な責任者です。
警備会社は人を現場へ派遣すればよいというものではなく、警備員に対して法令に基づいた教育を行う必要があります。
その中心となるのが警備員指導教育責任者です。
警備員指導教育責任者になるためには、対応する区分の「警備員指導教育責任者資格者証」を取得している必要があります。
そのため、
「代表取締役が責任者になればよい」
という単純なものではありません。
代表者自身が必要な資格者証を持っていなければ、資格を持つ人材を確保する必要があります。
警備員指導教育責任者は区分ごとに違う
警備員指導教育責任者資格者証にも1号から4号までの区分があります。
例えば、2号の資格者証しか持っていない人を配置して、1号警備業務の指導教育責任者とすることはできません。
したがって、会社設立前に、
「どんな警備を請け負うのか」
を明確にすることが重要です。
警備業を幅広く行いたいという理由だけで最初からすべての区分を扱うのではなく、予定している取引先や業務内容から必要な区分を整理した方が現実的です。
警備業認定の主な要件
警備業法では、一定の欠格事由に該当する者について警備業を営むことができないと定めています。
申請前には、個人申請の場合は申請者本人、法人の場合は役員などについて確認が必要です。
主な確認事項としては、
・一定の刑罰を受けて所定の期間を経過していない
・暴力団員等に該当する
・一定の違法行為を行うおそれがある
・心身の状態により警備業務を適正に行うことができない
・必要な警備員指導教育責任者を選任できない
など、警備業法上の欠格事由や人的体制を確認することになります。
法人の場合は、代表取締役だけ確認すればよいわけではありません。
役員についても必要書類を準備し、欠格事由に該当しないことを確認します。
警備業認定に必要な主な書類
東京都で法人として警備業認定を申請する場合、主に次のような書類を準備します。
・警備業認定申請書
・定款
・登記事項証明書
・役員の住民票
・役員の履歴書
・役員の身分証明書
・役員の医師の診断書
・欠格事由に該当しない旨の誓約書
・警備員指導教育責任者の住民票
・警備員指導教育責任者の履歴書
・警備員指導教育責任者の身分証明書
・警備員指導教育責任者の診断書
・警備員指導教育責任者資格者証の写し
・警備員指導教育責任者に関する誓約書
などです。
実際には申請者の状況によって必要書類を確認する必要があります。
特に法人の場合は役員全員について住民票、履歴書、身分証明書、診断書などを準備するため、役員数が多い会社ほど書類収集に時間がかかります。
「身分証明書」は運転免許証ではない
警備業認定で初めて許認可申請をする方が間違えやすいのが「身分証明書」です。
行政手続きでいう身分証明書は、運転免許証やマイナンバーカードのコピーを意味するとは限りません。
警備業認定で求められる身分証明書は、本籍地の市区町村が発行する証明書です。
住民票とは別の書類になります。
例えば、本籍地が兵庫県で現在東京都に住んでいる場合には、本籍地の市区町村から取得することになります。
書類収集を始める前に本籍地を確認しておくとスムーズです。
警備業認定の申請先はどこ?
東京都で警備業を始める場合、原則として主たる営業所の所在地を管轄する警察署へ認定申請を行います。
都内では生活安全課が窓口になります。
例えば、
会社の登記上の本店所在地
実際の主たる営業所
警備員を管理する場所
などの関係を整理して、どの警察署が管轄になるのか確認します。
単に「東京都内だから警視庁本部へ申請する」というわけではありません。
警備業認定の申請手数料
東京都における警備業の認定申請手数料は23,000円です。
これは行政へ支払う申請手数料です。
行政書士へ手続きを依頼する場合には、別途行政書士報酬が発生します。
また、警備員指導教育責任者資格者証を新たに取得するために講習を受講する場合には、その講習等に関する費用も必要になります。
したがって、警備会社の開業資金を計算する際には、
会社設立費用
事務所費用
警備員採用費用
制服・備品費用
車両費用
認定申請手数料
責任者資格関係の費用
などを含めて検討することが重要です。
認定までどれくらいかかる?
東京都では、警備業の認定申請から認定までの期間は概ね40日が目安とされています。
ただし、これは申請書類が適切に揃っていることを前提とした目安です。
書類に不備がある場合や追加確認が必要な場合には、予定より時間がかかる可能性があります。
そのため、
「来月から警備契約が決まっているから、今月会社を作れば間に合う」
とは限りません。
開業予定日や取引開始日から逆算して準備する必要があります。
警備業認定の有効期間は5年間
警備業の認定には有効期間があります。
認定を受けた日から5年間です。
5年を超えて引き続き警備業を営む場合には、更新申請が必要になります。
東京都では、有効期間満了日の3か月前から更新申請を受け付けており、法律上は満了日の30日前までに更新申請を行う必要があります。
許認可は「一度取得したら永久に有効」というものではありません。
認定日と有効期限を管理しておきましょう。
警備会社を開業するまでの流れ
STEP1 警備業務の種類を決める
最初に、どの警備業務を行うのか決めます。
例えば、
「建設現場の交通誘導を中心にする」
のであれば、主に2号警備業務を検討します。
一方、
「オフィスビルの常駐警備を請け負う」
のであれば1号警備業務が中心になります。
この区分によって必要な警備員指導教育責任者も変わるため、最初に整理することが重要です。
STEP2 警備員指導教育責任者を確認する
次に、必要な区分の資格者証を持っている人がいるか確認します。
代表者自身が資格を持っているのか、役員や従業員を責任者にするのか、新たに資格者を採用するのかを決めます。
警備会社開業では、この段階を後回しにしないことが重要です。
STEP3 法人・営業所を準備する
法人で営業する場合は会社を設立し、営業所を準備します。
会社の事業目的についても、警備業を行うことが分かる内容にしておくことをおすすめします。
営業所については、単なる登記上の住所ではなく、実際に警備業務を管理する営業所として使用できる体制を整えます。
STEP4 必要書類を収集する
役員や警備員指導教育責任者について、
住民票
身分証明書
履歴書
診断書
誓約書
などを準備します。
法人については定款や登記事項証明書も準備します。
役員が複数いる場合には、全員分の書類収集に時間がかかるため早めに準備しましょう。
STEP5 管轄警察署へ認定申請する
主たる営業所の所在地を管轄する警察署へ認定申請を行います。
東京都の場合、申請手数料は23,000円です。
現在は警備業の認定申請についてオンライン手続きの対象にもなっています。
申請方法を含め、事前に管轄警察署へ確認しておくとスムーズです。
STEP6 審査を受ける
公安委員会による審査が行われます。
東京都では認定まで概ね40日が目安となっています。
開業予定日が決まっている場合には、この審査期間を考慮する必要があります。
STEP7 認定後に営業を開始する
認定を受けた後、必要な法定手続きや警備員教育などを行い、実際の警備業務を開始します。
警備業は認定を取れば自由に営業できるというものではなく、営業開始後も警備業法上の義務を守る必要があります。
警備会社開業前のチェックリスト
警備会社を立ち上げる場合には、次の項目を確認してみてください。
□ どの警備業務を行うか決めている
□ 1号・2号・3号・4号の区分を確認している
□ 必要な警備員指導教育責任者を確保している
□ 責任者の資格者証の区分を確認している
□ 法人の役員について欠格事由を確認している
□ 主たる営業所を決めている
□ 営業所を実際に使用できる状態にしている
□ 定款の事業目的を確認している
□ 役員全員の必要書類を確認している
□ 本籍地を確認している
□ 診断書を準備できる
□ 管轄警察署を確認している
□ 申請から認定までの期間を考慮している
□ 開業予定日から逆算して申請準備をしている
一つでも不明な項目がある場合は、会社設立や取引契約を先に進める前に確認しておくことをおすすめします。
警備会社開業でよくある失敗
会社を作ってから責任者がいないことに気付く
警備業への新規参入で特に避けたいケースです。
会社を設立し、事務所を借り、取引先まで見つけたにもかかわらず、必要な警備員指導教育責任者を確保できていないというケースです。
警備業認定では人的要件が重要です。
まず責任者を確保できるか確認してから事業計画を進めましょう。
2号の責任者資格で1号警備もできると思っている
警備員指導教育責任者資格者証には区分があります。
交通誘導警備を行っていた会社が新たに施設警備へ参入する場合などは、現在の責任者資格だけで対応できるのか確認が必要です。
事業拡大時にも注意しましょう。
申請すればすぐ営業できると思っている
認定申請を提出しただけでは警備業を開始できません。
認定を受けるまでには審査期間があります。
契約先との営業開始日を先に決めてしまうと、認定が間に合わない可能性があります。
法人の代表者だけ書類を準備する
法人申請では、代表者だけではなく監査役を含む役員について必要書類の準備が必要になります。
役員数が多い法人では、書類収集期間も考慮してスケジュールを組みましょう。
警備業認定に関するよくある質問
Q. 個人事業主でも警備業を始められますか?
はい。
警備業法上の要件を満たし、公安委員会の認定を受ければ、個人でも警備業を営むことは可能です。
ただし、個人の場合でも警備員指導教育責任者の選任などが必要になります。
Q. 警備会社を作るのに資本金の最低額はありますか?
警備業認定について、建設業許可のような一定額の財産要件が中心となる制度ではありません。
ただし、実際に警備会社を運営するには、人件費、社会保険、事務所、制服、備品、車両などの資金が必要です。
許認可上の要件だけでなく、開業後の運転資金まで考えて事業計画を作成しましょう。
Q. 警備員指導教育責任者は代表取締役でなければいけませんか?
代表取締役である必要はありません。
必要な資格者証を持ち、適切に業務を行える者を選任します。
代表者自身が資格要件を満たしていない場合には、資格を持つ従業員等を確保する方法を検討します。
Q. 交通誘導警備を始める場合は何号ですか?
道路工事や建設現場などで車両や歩行者を誘導し、事故を防止する警備は、一般的に2号警備業務に該当します。
イベントや祭りなどの雑踏警備も2号警備業務です。
Q. ビル警備は何号ですか?
オフィスビルや商業施設などにおける盗難等の事故を警戒・防止する施設警備は、一般的に1号警備業務です。
Q. 認定を取れば全国で営業できますか?
主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会の認定を受けた後、他の都道府県に営業所を設ける場合などには、別途必要な届出があります。
営業地域を拡大する場合には、営業所の設置状況と必要な手続きを確認しましょう。
Q. 認定にはどれくらい時間がかかりますか?
東京都では、申請から認定まで概ね40日が目安です。
ただし、書類不備や追加確認があれば時間がかかる可能性があります。
開業日から逆算し、余裕を持って準備することが重要です。
Q. 認定は一度取得すればずっと有効ですか?
いいえ。
警備業認定の有効期間は5年間です。
引き続き営業する場合には、有効期間満了前に更新申請を行う必要があります。
警備会社の開業は「責任者の確保」から確認する
警備会社を開業する場合、法人設立や事務所探しから始めたくなるかもしれません。
しかし、警備業認定で特に重要なのは、
「どの警備業務を行うのか」
「その区分に対応した警備員指導教育責任者を確保できるのか」
という点です。
例えば交通誘導警備を中心に開業するのであれば2号警備業務、ビルや店舗の施設警備を中心にするのであれば1号警備業務を検討します。
業務区分が決まれば、必要な警備員指導教育責任者も明確になります。
そのうえで、
会社設立
営業所の確保
役員等の欠格事由の確認
必要書類の収集
認定申請
という順番で進めるとスムーズです。
東京都では警備業認定の申請手数料は23,000円で、認定まで概ね40日が目安です。
また、認定の有効期間は5年間であり、営業開始後も更新や各種届出、警備員教育などの適切な管理が必要になります。
富森行政書士事務所では、警備業認定をはじめ、事業を開始する際に必要となる各種許認可・登録・届出についてご相談いただけます。
「交通誘導の警備会社を立ち上げたい」
「警備員指導教育責任者の要件を確認したい」
「会社設立前に警備業認定の条件を整理したい」
「どの警察署へ申請すればよいか分からない」
といった場合には、開業スケジュールを決める前に必要な手続きを確認しておくことをおすすめします。
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