親が亡くなりました。店の許認可を引き継いで営業することができますか?

結論から申し上げますと、
多くの「許認可」は原則として引き継ぐことはできません。
以下、行政書士の立場から、法律初心者の方にもわかりやすく整理してご説明します。
目次
1.そもそも「許認可」とは何か?
許認可とは、
本来は自由にできない行為について、
法律に基づき、行政庁が特定の人(法人)に対して特別に認めることをいいます。
例としては、
- 建設業許可
- 飲食店営業許可
- 風俗営業許可
- 旅館業許可
- 古物商許可
などがあります。
2.なぜ許認可は「引き継げない」のか?
理由は非常にシンプルです。
許認可は「人(法人)」に対して出されるものだから
行政は、
- 誰が
- どのような体制で
- 法令を守って事業を行うのか
を審査したうえで、特定の申請者にのみ許可を出しています。
そのため、
許可=モノ
ではなく
許可=資格・地位
という性質を持っています。
このため、原則として
売買・相続・譲渡による自動的な引き継ぎはできません。
3.よくある誤解
誤解①「会社を買えば許可も付いてくる」
❌ 原則NG
- 事業譲渡
- 個人から個人への売却
→ 許可は失効し、新たに取得が必要になるケースがほとんどです。
誤解②「親から子へ相続できる」
❌ 原則NG
個人事業主が亡くなった場合、
- 許可は本人限り
- 相続人がそのまま使うことは不可
となるのが原則です。
4.例外的に「引き継ぎが認められる」ケース
ただし、すべてが完全に不可能というわけではありません。
法律や許可の種類によっては、例外的な制度があります。
(1)法人の合併・会社分割
| ケース | 引き継ぎ |
|---|---|
| 吸収合併 | 可能な場合あり |
| 会社分割 | 認可・承認が必要 |
| 事業譲渡 | 原則不可 |
※引き継ぎ可能かどうかは、業法ごとに異なります。
(2)相続に関する特例
一部の許可では、
- 相続人が
- 一定期間内に
- 届出や承認申請を行う
ことで、継続営業が認められる制度があります。
ただし、
- 対象となる許認可は限定的
- 期限を過ぎると失効
といった厳しい条件があります。
5.具体例で整理すると
例①:飲食店営業許可
| 状況 | 引き継ぎ |
|---|---|
| 店舗を売却 | ❌ 不可(再取得) |
| 法人変更 | ❌ 原則不可 |
| 同一法人内で代表者変更 | ⭕ 届出対応 |
例②:建設業許可
| 状況 | 引き継ぎ |
|---|---|
| 事業譲渡 | ❌ 原則不可 |
| 合併 | ⭕ 認可が必要 |
| 相続 | ⭕ 承認制あり |
6.「名義貸し」は絶対にNG
許認可が引き継げないからといって、
- 名義だけ借りる
- 実態と申請者をずらす
といった行為は、重大な違法行為です。
多くの業法で、
- 許可取消
- 営業停止
- 刑事罰
の対象となります。
7.不明点について
- どの許認可がどこまで引き継げるか
- 実務上、どこまで認められるか
これらは、
業種・法律・自治体ごとに異なり、全国一律の答えはありません。
そのため、一般論だけで判断することはできず、
個別に確認が必要となります。
8.まとめ|「引き継げるか」ではなく「どう引き継ぐか」を考える
ポイントは次のとおりです。
- 許認可は原則「引き継げない」
- 例外は法律で明確に定められている場合のみ
- 無理な引き継ぎは違法リスクが高い
- 事前設計が極めて重要
行政書士事務所へのご相談のご案内
- 事業承継・M&Aを検討している
- 許認可が引き継げるか判断できない
- 相続や法人化を予定している
- 廃業せずに事業を続けたい
このような場合は、
許認可と事業承継に精通した行政書士へ、必ず事前にご相談ください。
「引き継げないから無理」ではなく、
合法的に継続するための設計が可能なケースも多くあります。
ご不明点がございましたら、
お気軽に行政書士事務所までお問い合わせください。
