以下では 相続人調査とは何か を、行政書士実務に沿って丁寧にご説明いたします。
相続人調査とは
相続手続を行うために、法律上の相続人を正確に確定するための調査をいいます。
相続では、
「誰が相続人なのか」
を誤ると手続全体が無効になったり、後から紛争になる恐れがあるため、最初に必ず行う重要な作業です。
相続人調査の目的
① 法定相続人を確定するため
相続人は民法で厳密に定められています。
しかし、戸籍から読み取らなければ法律上の相続人は分かりません。
例:
- 亡くなった方に認知した子がいる
- 前婚との子がいる
- 養子がいる
- 相続人が先に死亡しており、代襲相続が発生する
…など複雑な場合が多い。
② 相続手続きを確実に行うため
相続登記、銀行解約、遺産分割協議などのすべての手続で、
相続人全員の署名・押印が必要です。
1人でも漏れた場合、
- 登記が受け付けられない
- 遺産分割が無効になる
など重大な問題が生じます。
👉 相続人調査により、漏れや誤りを防ぎます。
③ 相続トラブルの防止
家系が複雑な場合、相続人の認識が食い違うことが多く、
後の紛争につながりやすいです。
👉 正確な調査により、相続人全員が同じ情報を共有できます。
相続人調査の内容(実務的な流れ)
目次
① 戸籍を収集する
相続人調査の中心は、戸籍謄本の収集です。
【被相続人(亡くなった方)】
- 出生から死亡までのすべての戸籍(連続した一式)
→ 戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍
これにより、子や配偶者、養子などが明確になります。
【相続人となる可能性がある人】
- 現在の戸籍謄本
- 必要に応じて、子や孫の戸籍
② 相続関係(家族関係)を整理する
戸籍を読み取り、
- 配偶者
- 子
- 養子
- 先に死亡した子がいるか(代襲相続)
- 父母・兄弟姉妹まで相続する場合も
を確定します。
③ 相続人を確定し、一覧化する
以下の情報をまとめ、一覧を作ります。
- 氏名
- 生年月日
- 続柄
- 存命か、死亡しているか
- 代襲相続の有無
必要に応じて
相続関係説明図(家系図)
として図にします。
相続人調査が必要となる場面
- 不動産の相続登記
- 預貯金の相続手続
- 遺産分割協議書の作成
- 相続放棄の判断資料
- 相続税の申告
- 家庭裁判所の手続
ほぼすべての相続手続の“最初のステップ”が相続人調査です。
まとめ
相続人調査とは、
戸籍を収集し、法律上の相続人を正確に特定するための調査です。
- 相続の出発点
- 手続ミスを防ぎ、争いを避けるために必須
- 戸籍の読み取りには専門性が必要
――という、非常に重要な作業となります。


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