【在留資格(ビザ)で読み解く】なぜ日本にはインドカレー屋が多いのか?― 行政書士が制度と実例から分かりやすく解説 ―

なぜ日本にはインドカレー店が多いのでしょうか。本記事では、在留資格(ビザ)の「技能」を中心に、外国人コックが来日できる制度や実際の店舗事情、ネパール人経営店が多い理由まで行政書士が分かりやすく解説します。

目次

【在留資格(ビザ)で読み解く】なぜ日本にはインドカレー屋が多いのか?行政書士が制度と実例から分かりやすく解説

街を歩いていると、「インドカレー」と書かれたお店を見かけることは珍しくありません。

駅前や住宅街、商店街など、日本全国に数多く存在しています。

しかし、よく見るとスタッフがネパール出身だったり、店名はインド料理店でもネパール料理が提供されていたりするケースも少なくありません。

「なぜこれほど多くのインドカレー店があるの?」
「どうして外国人シェフが働けるの?」
「ビザには何か関係があるの?」

実は、この背景には日本の在留資格(ビザ)制度が深く関係しています。

特に「技能」の在留資格は、本場の外国料理を提供する飲食店にとって重要な制度です。

この記事では、行政書士の視点から、インドカレー店が日本に多い理由を在留資格制度と実際の運用を交えながら分かりやすく解説します。

なぜ日本にはインドカレー店が多いの?

結論から言えば、理由は一つではありません。

主な要因として次のようなものが挙げられます。

・本格的な外国料理への需要が高まったこと

・外国人シェフを受け入れる在留資格制度が整備されていること

・既存店舗から独立開業するケースが多いこと

・外国人コミュニティによる支援があること

・比較的少人数でも営業しやすい業態であること

特に行政書士の実務で重要になるのが、「技能」の在留資格です。

外国人コックが働ける理由は「技能」の在留資格

外国人が日本で自由に料理人として働けるわけではありません。

一定の要件を満たした場合に、「技能」の在留資格を取得できる可能性があります。

この在留資格は、外国特有の産業や技術について熟練した技能を持つ外国人を対象としています。

その代表例が外国料理のコックです。

例えば次のような料理人が対象となることがあります。

・インド料理

・ネパール料理

・タイ料理

・中国料理

・トルコ料理

・フランス料理

・イタリア料理

重要なのは、「外国特有の料理を提供するための熟練した技能」が求められるという点です。

技能ビザの主な要件

外国料理のコックとして「技能」の在留資格を取得するためには、一定の要件を満たす必要があります。

代表的な要件は次のとおりです。

要件内容
熟練した技能外国特有の料理を調理する技能を有すること
実務経験原則として10年以上の実務経験が必要(一定の例外あり)
雇用先日本国内の飲食店などで適切な雇用契約があること
報酬日本人と同等額以上の報酬を受けること

実務経験については、単に料理ができるだけでは足りず、海外での調理経験などを証明する資料が重要になります。

STEP 技能ビザ取得までの流れ

STEP1 飲食店が採用を決定する

まず、日本の飲食店が外国人シェフを採用します。

STEP2 必要書類を準備する

申請では、本人だけでなく会社側の資料も必要になります。

例えば次のような書類です。

・雇用契約書

・会社関係書類

・料理人としての経歴を証明する資料

・職務内容説明書

・実務経験を証明する資料

STEP3 入管へ申請する

海外から呼び寄せる場合は在留資格認定証明書交付申請、日本国内で変更する場合は在留資格変更許可申請などを行います。

STEP4 審査

入国管理局で仕事内容や技能、経験などが審査されます。

STEP5 就労開始

許可後、日本で外国料理人として働くことができます。

なぜネパール人スタッフが多いの?

「インド料理店なのにスタッフはネパール人だった。」

このような経験をした人も多いでしょう。

実際、日本のいわゆる「インドカレー店」では、ネパール出身者が経営や調理を担っているケースも多く見られます。

これは、ネパールでもインド料理の調理技術が広く普及していることや、日本国内でネットワークが形成され、新たな店舗の開業につながっていることなどが背景にあると考えられます。

また、「インドカレー」という名称の方が日本では認知度が高く、利用者にも伝わりやすいことから、看板には「インド料理」と表示している店舗も少なくありません。

ただし、店舗ごとの経営者やスタッフの国籍、提供する料理の内容はさまざまであり、一概に「インド料理店=インド人経営」「インド料理店=ネパール人経営」とはいえません。

「技能実習」や「特定技能」との違い

外国人が飲食店で働く在留資格には複数の種類があります。

その違いを理解しておくことも重要です。

在留資格主な対象調理人としての位置付け
技能熟練した外国料理人本格的な外国料理の調理
技能実習制度目的が異なる一般的には外国料理コックとして取得する制度ではない
特定技能人手不足分野飲食料品製造業や外食業など一定の業務に従事可能

特に外国料理店で料理長や熟練コックとして働く場合には、「技能」の在留資格が問題となるケースが多くあります。

外国料理店だから必ず「技能」の在留資格が必要?

必ずしもそうではありません。

外国料理店で働いている外国人全員が「技能」の在留資格を持っているわけではありません。

例えば、次のような在留資格で働いているケースもあります。

・永住者

・日本人の配偶者等

・永住者の配偶者等

・定住者

これらの在留資格には就労制限がないため、料理人として働くことができます。

また、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で本社業務や店舗管理を担当している人や、「特定技能」の在留資格で外食業の業務に従事している人もいます。

つまり、「外国人シェフ=技能ビザ」とは限らず、それぞれの仕事内容や在留資格に応じて働いています。

経営者になる場合は「経営・管理」の在留資格が関係することも

外国人が自ら飲食店を経営する場合には、「技能」ではなく「経営・管理」の在留資格が問題となることがあります。

例えば、自分で会社を設立し、日本でインド料理店を開業する場合には、「経営・管理」の在留資格の取得を検討することになります。

一方、自ら調理も行う場合には、どのような業務を中心として行うのかなど、個別の事情を踏まえて判断されます。

在留資格は店舗の業態だけで決まるものではなく、実際の活動内容に応じて判断されるため、事前の確認が重要です。

実例

実例1 海外から熟練シェフを招へいするケース

東京都内でインド料理店を経営するA社は、本場の味を提供するため、インドで長年調理経験のあるシェフを採用することになりました。

会社は雇用契約を締結し、実務経験を証明する資料や店舗資料などを準備して在留資格認定証明書交付申請を行いました。

審査を経て許可され、シェフは日本で勤務を開始しました。

実例2 日本で独立開業するケース

ネパール料理店で長年勤務していた外国人が、自身の店舗を開業することを計画しました。

調理だけではなく、店舗運営や従業員管理、資金計画など経営者として活動するため、「経営・管理」の在留資格が必要となるケースがあります。

開業準備と並行して、会社設立や営業許可、在留資格の手続きを進めることになります。

実例3 永住者として働くケース

永住者の在留資格を持つ外国人がインド料理店で料理人として勤務しています。

永住者には就労制限がないため、「技能」の在留資格を取得しなくても調理業務に従事することができます。

このように、同じ店舗で働く外国人であっても、在留資格は人によって異なります。

在留資格申請で注意したいポイント

外国料理人の在留資格申請では、次のような点が特に重要です。

実務経験を証明できるか

実務経験は口頭説明だけでは足りません。

勤務証明書や在職証明書など、客観的な資料を提出することが重要です。

実際の業務内容

申請内容と実際の仕事内容が一致している必要があります。

調理人として申請したにもかかわらず、実際には接客業務が中心となっている場合には問題となる可能性があります。

雇用条件

給与や勤務条件についても、日本人と同等以上であることなどが求められます。

店舗の実態

営業実態や経営状況なども審査対象となります。

新規開業の場合には、事業計画や営業許可なども重要な資料になります。

チェックリスト

外国料理人を採用する前に確認しましょう。

□ 在留資格が仕事内容に合っている

□ 実務経験を証明する資料がある

□ 雇用契約書を作成している

□ 給与が適正である

□ 営業許可を取得している

□ 業務内容を明確に説明できる

□ 必要書類を漏れなく準備している

よくある質問

Q. インド料理店なら誰でも技能ビザを取得できますか?

いいえ。

外国料理店で働くことだけでは足りません。

実務経験や業務内容など、出入国在留管理庁が定める要件を満たす必要があります。

Q. 日本で料理学校を卒業しただけでも取得できますか?

料理学校を卒業しただけでは取得できるとは限りません。

申請内容や在留資格の種類によって必要となる要件は異なります。

Q. ネパール人でもインド料理店で技能ビザを取得できますか?

可能性はあります。

重要なのは国籍ではなく、外国特有の料理について必要な技能や経験を有しているかどうかです。

Q. 技能ビザで開業できますか?

技能の在留資格は、外国料理人として就労するための在留資格です。

自ら飲食店を経営する場合には、「経営・管理」の在留資格が問題となるケースがあります。

Q. 行政書士へ依頼するメリットはありますか?

在留資格申請では、本人の経歴だけでなく、会社や店舗に関する資料、雇用内容、業務内容など、多くの書類を準備する必要があります。

行政書士へ依頼することで、必要書類の整理から申請書類の作成まで、一貫したサポートを受けることができます。

まとめ

日本でインドカレー店が多く見られる背景には、外国料理への高い需要だけでなく、在留資格制度も大きく関係しています。

特に、本場の外国料理を提供するために来日する料理人については、「技能」の在留資格が重要な役割を果たしています。

また、店舗によっては永住者や定住者、特定技能、経営・管理など、さまざまな在留資格を持つ外国人が活躍しています。

外国料理店の採用や開業では、営業許可だけでなく、在留資格についても正しく理解しておくことが大切です。

外国人雇用・在留資格(ビザ)のご相談は富森行政書士事務所へ

外国料理店で外国人を採用する場合や、日本で飲食店を開業する場合には、営業許可だけでなく在留資格の確認や申請も重要になります。申請内容に誤りがあると、不許可となる可能性もあります。

富森行政書士事務所では、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請をはじめ、外国人雇用や飲食店開業に関する各種手続きをサポートしております。

▶ サービスページはこちら

▶ 料金診断はこちら

▶ お問い合わせはこちら

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次