「交通事故」と「行政書士業務」は一見関係がなさそうに見えますが、実は交通事故の発生後に必要となる書類作成・手続き支援の分野で行政書士が関わることができます。
以下に、行政書士が交通事故に関して関与できる業務と、できない(弁護士の専権)業務を整理して説明します。
目次
🚗 行政書士が関われる「交通事故関連業務」
① 損害賠償請求のための資料作成(示談書・請求書など)
行政書士は、事故の被害者・加害者の依頼により、
損害賠償請求に関する**文書の作成・相談(書類作成業務)**を行えます。
具体的には:
- 示談書(和解内容を記した文書)
- 損害賠償請求書(保険会社・加害者宛)
- 事故状況説明書
- 委任状・陳述書の作成補助
👉 行政書士は「書類作成」が中心であり、相手との交渉や調停の代理はできません。
② 自動車事故証明書などの取得代行
事故の証明に必要な「交通事故証明書」などの取得を代行可能です。
主な代行業務:
- 自動車安全運転センターへの交通事故証明書の申請
- 登記・登録・保険関係書類の代理取得
- 自動車損害賠償責任保険(自賠責)請求書類の作成
③ 自賠責保険・任意保険の請求書類作成
自賠責保険の請求は、書類が多く一般人には難解です。
行政書士はこれらの請求手続の書類作成や提出代行を行えます。
対象書類例:
- 自賠責保険支払請求書
- 休業損害証明書
- 診断書・通院証明書の整理
- 委任状・事故証明関係書類
④ 死亡事故・後遺障害関係の文書作成
遺族や被害者が後遺障害認定を受ける際、行政書士が関連文書を作成することが可能です。
- 後遺障害等級認定申請書類の作成
- 意見書・申立書の起案
- 慰謝料算定に関する参考文書の作成支援
⑤ 自動車登録・廃車・名義変更
交通事故により車が廃車になった場合など、
行政書士が陸運局での手続を代行できます。
例:
- 廃車(抹消登録)手続き
- 名義変更(譲渡登録)
- 自動車保管場所(車庫証明)手続き
⚖️ 行政書士ができない業務(弁護士の専権)
行政書士は「書類作成の専門家」であり、
**交渉や代理行為(示談交渉・調停・訴訟対応)**は一切できません。
| 行為内容 | 行政書士 | 弁護士 |
|---|---|---|
| 示談書作成 | 〇 | 〇 |
| 損害賠償請求書作成 | 〇 | 〇 |
| 相手方との交渉(示談交渉) | ✕ | 〇 |
| 裁判所への訴訟代理 | ✕ | 〇 |
| 保険会社との折衝 | ✕ | 〇 |
🧾 行政書士が行う「交通事故業務の実務例」
| 業務内容 | 依頼者 | 主な成果物 |
|---|---|---|
| 自賠責保険金請求書作成 | 被害者 | 自賠責請求書一式 |
| 事故状況説明書の作成 | 加害者 | 事故報告書 |
| 示談書の作成 | 双方合意後 | 示談書 |
| 廃車・名義変更手続 | 所有者 | 陸運局届出完了書 |
| 死亡事故の損害賠償資料作成 | 遺族 | 損害明細書・証拠整理書 |
💡 まとめ
行政書士は「交通事故の法的交渉」はできませんが、
「事故後に必要な書類作成・申請支援の専門家」として大きな役割を果たします。


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