デジタル遺産とは何か
――スマホ・Apple・Google時代に避けて通れない新しい相続問題
近年、相続に関するご相談の中で急増しているのが、
**「デジタル遺産が分からない」**という問題です。
- 亡くなった家族のスマホが開けない
- ネット銀行やネット証券を使っていたはずだが、手がかりがない
- Apple ID や Google アカウントに何が入っているのか分からない
このような状態に陥り、相続手続きが長期間止まってしまうケースは、すでに珍しいものではありません。
本記事では、行政書士の立場から、
デジタル遺産とは何か、相続との関係、トラブルの実例、管理方法、調べ方、管理サービスの注意点まで、
法律初心者の方にも分かるよう丁寧に解説します。
デジタル遺産とは
デジタル遺産の意味
デジタル遺産とは、
被相続人(亡くなった方)が生前に利用していた、
デジタル上で管理されている財産・情報・契約関係を総称した呼び方です。
なお、「デジタル遺産」という言葉は法律用語ではありませんが、実務上は広く用いられています。
デジタル遺産の具体例
次のようなものが代表例です。
- スマートフォンやパソコン内のデータ
- ネット銀行・ネット証券の口座
- 暗号資産(仮想通貨)
- 電子マネー・ポイント
- Apple ID(iCloud、写真、サブスクリプション等)
- Googleアカウント(Gmail、Googleフォト、Googleドライブ等)
- SNSアカウント
- クラウドサービス上の文書・写真・動画
これらは形がなく、紙の通帳や証書も存在しないため、
相続人が存在自体に気づかないという問題が起こりやすくなります。
デジタル遺産と相続の基本的な考え方
デジタル遺産 相続の原則
デジタル遺産のうち、
財産的価値を有するもの(預金、暗号資産、ポイント等)は、
原則として相続の対象になります。
これは、
「デジタルで管理されているかどうか」に関わらず、
経済的価値を持つ財産である以上、相続財産に含まれるためです。
相続できるもの・できないもの
ここで注意すべき点があります。
- 預金残高や暗号資産 → 相続対象
- ID・パスワード → 相続対象ではない
IDやパスワードは、各サービスの利用規約(サービス利用時の契約条件)に基づき管理されています。
相続人がログインできるか、情報開示されるかについては、
各事業者の対応によって異なり、一律の取り扱いは存在しません。
デジタル遺産 スマホが中心になる理由
スマホに集約されるデジタル遺産
現在、多くの方が以下のものをスマホ1台で管理しています。
- 銀行・証券アプリ
- 決済サービス
- Apple ID・Googleアカウント
- クラウドストレージ
そのため、
スマホが開けない=デジタル遺産全体が把握できない
という事態が発生します。
【実例】デジタル遺産トラブルの現場
実例①:ネット銀行の存在が確認できない
被相続人は通帳を持たず、ネット銀行のみを利用していました。
しかし、スマホのロックが解除できず、
どの金融機関に口座があるのか全く分からない状態となりました。
結果として、相続財産の確定に長期間を要しました。
実例②:デジタル遺産 apple に関するトラブル
Apple ID に紐づいた iCloud 内に、
- 家族写真
- 契約書データ
が保存されていましたが、
ログイン情報が分からず、相続人は内容を確認できませんでした。
実例③:デジタル遺産 google が把握できない
Googleアカウントにより、
- Gmail
- Googleドライブ
を利用していたことは分かっていましたが、
具体的な内容や財産的価値の有無が確認できず、
相続手続きが停滞しました。
デジタル遺産 トラブルが起こる原因
デジタル遺産 問題の本質
デジタル遺産の問題には、次の特徴があります。
- 目に見えない
- 家族に共有されていない
- 本人しか分からない
- サービスごとに対応が異なる
その結果、相続人が
「何があるのか分からない」
「どう調べればよいか分からない」
という状態に陥ります。
デジタル遺産 調べ方の基本
相続発生後に行われる主な確認方法
一般的には、次のような方法で調査が行われます。
- スマホ・パソコンの確認
- メール履歴の確認
- クレジットカード明細の確認
- 郵送物・契約書の確認
ただし、
ログインできない場合には確認に限界があります。
デジタル遺産 管理の重要性(生前対策)
デジタル遺産 管理が必要な理由
デジタル遺産は、
生前に管理しておくことが最大のトラブル防止策です。
管理の基本は次のとおりです。
- 利用サービスの一覧化
- デジタル財産の存在を明示
- 相続時の対応方針を決める
デジタル遺産 管理 サービスについて
近年、
デジタル遺産 管理 サービスを提供する事業者も存在します。
ただし、
- 法的な効力
- 相続手続きとの整合性
- 情報管理の安全性
については、サービスごとに異なります。
デジタル遺産と遺言書の関係
遺言書でできること
遺言書では、
- デジタル遺産の存在を明示
- 管理や引継ぎに関する意思表示
を行うことが可能です。
※パスワードを直接記載する方法については、
安全性や管理方法を含め、慎重な検討が必要です。
行政書士ができるサポート
行政書士は、次のような形でデジタル遺産問題を支援できます。
- デジタル遺産の整理・一覧化支援
- 相続全体を踏まえた事前対策の助言
- 遺言書作成支援
- 相続手続きとの調整
※相続人間に争いがある場合は、弁護士対応となります。
まとめ
- デジタル遺産は誰にでも関係する相続問題
- スマホ・Apple・Googleが中心となる
- 相続人が「わからない」状態になりやすい
- 生前の管理が最重要
- 専門家の関与でトラブルを防止できる
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