「いつから始まる?育成就労制度とは」年間1万人が失踪する技能実習制度の問題点と違いについて解説


育成就労制度と技能実習制度の違いとは

――技能実習の問題点と新制度の位置づけを行政書士がわかりやすく解説

外国人雇用をめぐる制度は、ここ数年で大きな転換期を迎えています。
その象徴が、技能実習制度の見直しと、育成就労制度の創設です。

企業や受入団体の方からは、

  • 育成就労制度とは何か
  • 技能実習制度と何が違うのか
  • 育成就労制度はいつから施行されるのか
  • 外国人にとって不利な点(デメリット)はないのか

といったご相談が急増しています。

本記事では、行政書士の立場から、
育成就労制度とは何かをわかりやすく説明し、技能実習制度との違い、技能実習制度が抱えてきた問題点、新制度に対する賛否について、実例を交えながら解説します。


目次

育成就労制度とは

育成就労制度とは

育成就労制度とは
外国人を「労働力」として受け入れつつ、
一定期間の就労を通じて技能を育成し、
将来的には特定技能制度への移行を前提とした新たな在留制度です。

従来の技能実習制度に代わる制度として位置づけられています。


制度創設の背景

技能実習制度は、名目上は「国際貢献」を目的としていましたが、
実態としては人手不足対策として使われてきました。

この制度目的と実態の乖離が、
長年にわたって問題視されてきたため、
有識者会議の議論を経て、育成就労制度が構想されました。


育成就労制度 いつから施行されるのか

育成就労制度 いつから

育成就労制度は、2024年6月に成立・公布 されました。
技能実習制度を廃止し、それに代わる制度として2027年ごろ(3年以内) スタートする予定です。

在留期間

  • 「育成就労」の期間は 最長3年
  • その後、成長すれば「特定技能」という在留資格に移って、
     さらに5年間(または無期限)働くことも可能 です。

つまり、
➡️ 3年間育つ(育成就労)
➡️ その後もっと働ける


技能実習制度とは

技能実習制度の概要

技能実習制度は、
日本の技能・技術・知識を開発途上地域へ移転することを目的とした制度です。

制度上、外国人は「労働者」ではなく、
**技能を学ぶ立場(実習生)**とされています。


技能実習制度の問題点

技能実習制度 問題点①:転籍が原則不可

技能実習制度では、
原則として転籍(転職)が認められていません

このため、

  • 劣悪な労働環境
  • ハラスメント
  • 法令違反

があっても、
外国人が逃げ場を失う構造になっていました。


技能実習制度 問題点②:制度目的と実態の乖離

名目は国際貢献であるにもかかわらず、
実態は人手不足対策として使われてきました。

この点が、
国内外から強い批判を受けてきた最大の理由です。


技能実習制度 問題点③:失踪問題

転籍ができないことから、
失踪という形で制度から離脱する外国人が後を絶ちません

これは外国人本人にとっても、
社会全体にとっても大きな問題です。


育成就労制度と技能実習制度の違い

育成就労制度 違いのポイント

両制度の違いを整理すると、次のようになります。

項目技能実習制度育成就労制度
制度目的国際貢献人材育成+労働力確保
転籍原則不可一定条件で可能
外国人の立場実習生労働者
将来像帰国前提特定技能へ移行想定

育成就労制度の問題点・デメリット

育成就労制度 デメリット①:運用の複雑化

新制度では、

  • 転籍ルール
  • 日本語要件
  • 育成計画

などが細かく定められる予定です。

これにより、
受入企業側の負担が増える可能性があります。


育成就労制度 デメリット②:制度理解の難しさ

制度が新しいため、
企業・外国人双方にとって
正確な理解が進むまで混乱が生じる可能性があります。


育成就労制度 問題点として指摘されている点

有識者会議では、

  • 実質的な低賃金労働の固定化につながらないか
  • 外国人の権利保護が十分か

といった点が議論されています。


育成就労制度 転籍について

転籍とは(補足説明)

転籍とは、
在留資格を維持したまま、
受入企業を変更することをいいます。

育成就労制度では、
一定の要件を満たせば転籍が可能とされています。


育成就労制度 日本語要件

育成就労制度では、
就労や生活に支障がないよう、
一定の日本語能力を求める方向で検討されています。

具体的な水準については、
分野・職種ごとに異なる可能性があり、
現時点で詳細は不明です。


育成就労制度 職種について

育成就労制度の対象となる職種は、
人手不足が深刻な分野が想定されています。

ただし、
どの職種が最終的に対象となるかについては、
今後の制度設計次第であり、現時点では不明です。


育成就労制度と移民・永住権の関係

育成就労制度 移民なのか

育成就労制度について、
「事実上の移民政策ではないか」という意見もあります。

しかし、
制度上、育成就労制度そのものが
永住権を直接付与する制度ではありません


育成就労制度 反対意見について

育成就労制度には、

  • 日本人労働者の賃金低下につながるのではないか
  • 外国人労働に依存しすぎるのではないか

といった反対意見も存在します。

これらの意見も、
有識者会議において正式に議論されています。


【実例】制度の違いが見えたケース

実例:製造業のケース

技能実習生を受け入れていた製造業者が、
失踪問題や教育コストの高さに悩んでいました。

将来的には、
育成就労制度を活用し、
特定技能への移行を前提とした人材育成を検討しています。


行政書士ができるサポート

行政書士は、

  • 育成就労制度と技能実習制度の整理
  • 制度変更への対応助言
  • 外国人雇用に関する書類作成支援
  • 関係法令・制度の説明

などを行うことができます。


まとめ

  • 育成就労制度とは、技能実習制度に代わる新制度
  • 技能実習制度には構造的な問題点があった
  • 育成就労制度は転籍を認める方向
  • 施行時期や職種の詳細は現時点では不明
  • 正確な制度理解が不可欠

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外国人雇用の在り方を大きく変える重要な制度です。

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そのような場合は、
行政書士へのご相談をおすすめします

当事務所では、
外国人雇用制度について、
法律初心者の方にも分かりやすく丁寧にご説明しております。

どうぞお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

東京都行政書士会墨田支部所属の富森翔太です。
相続、許認可、会社設立等の業務を行なっています。
行政や法律に関する疑問や手続きについてわかりやすく発信していきます。

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